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白墨
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はくぼく
ふりがな文庫
“
白墨
(
はくぼく
)” の例文
警官はそれを聞きながら
白墨
(
はくぼく
)
で腰掛のようなところへ何か書き止めていた。なかなか忙しそうである。私は少し気の毒になって来た。
雑記(Ⅰ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
彼の歩調も
緩
(
ゆる
)
んだ。
丁度
(
ちょうど
)
二人が目的の部屋の前に来たからである。黒い
漆
(
うるし
)
をぬった札の表には、
白墨
(
はくぼく
)
で「病理室」と書いてあった。
蠅
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
〔キッコは
筆記帳
(
ひっきちょう
)
をもってはねあがりました。〕そして
教壇
(
きょうだん
)
へ行ってテーブルの上の
白墨
(
はくぼく
)
をとっていまの
運算
(
うんざん
)
を書きつけたのです。
みじかい木ぺん
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
二時間目に
白墨
(
はくぼく
)
を持って控所を出た時には何だか敵地へ乗り
込
(
こ
)
むような気がした。教場へ出ると今度の組は前より大きな
奴
(
やつ
)
ばかりである。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
見ると、彼は漫然と雑巾がけをしているのではなくて、その扉へ誰かが
白墨
(
はくぼく
)
でいたずら書きをしたのを、
拭
(
ふ
)
きとっていたのだ。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
眤と真黒く拭い清められた板を見上て、やがてそれを
指
(
ゆびさ
)
して子供を顧みた。……黒板の下の溝には
白墨
(
はくぼく
)
が二本置かれてある。
点
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そして、このグルストン街の角で、犯人はあの、有名な「殺人鬼ジャックの
宣言
(
メッセイジ
)
」をそこの壁へ
白墨
(
はくぼく
)
で書いたのである。
女肉を料理する男
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
狐につままれたようにトラック小屋の方に来ると、緑色のトラックの箱に、
白墨
(
はくぼく
)
で何やら書いてあるのが眼に入った。
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
ところが、ヨハンネスの口から、ただひとこと「くつ」とでたとき、お姫さまの顔はさっとかわって、
白墨
(
はくぼく
)
ように白くなりました。そうして、からだじゅう、がたがたふるえていました。
旅なかま
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
すなわち、時遷は空櫃を負って、梁山泊までの陸路をただの旅人のように
旅籠
(
はたご
)
泊りをかさねて行く。泊り先の宿屋の軒には、かならず
目印
(
めじるし
)
として、
白墨
(
はくぼく
)
でどこかへ丸を描いて残しておく。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
子供が
黒板
(
こくばん
)
へ
白墨
(
はくぼく
)
で
悪戯
(
いたづら
)
に書いた算用数字。2、2、2、2、2、2。
動物園
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「
白墨
(
はくぼく
)
がなくなったから、誰か教員室へ行って持って来て下さい」
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「ではくつのあとと
白墨
(
はくぼく
)
の線とを見てくれたまえ」
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
「じゃあ、その縄はうんと高く張らなくちゃあね。それから、くぐり戸を入ったすぐの壁に、自分の名前を
白墨
(
はくぼく
)
で書かせようや」
骸骨館
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
漢学の先生が出て来る。野だが出て来る。しまいには赤シャツまで出て来たが山嵐の机の上は
白墨
(
はくぼく
)
が一本
竪
(
たて
)
に寝ているだけで
閑静
(
かんせい
)
なものだ。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
先生はそれを一寸見てそれから一言か二言質問をして、それから
白墨
(
はくぼく
)
でせなかに「及」とか「落」とか「同情及」とか「退校」とか書くのでした。
ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
白墨
(
はくぼく
)
でその辺の壁に矢の印を書いて
廻
(
まわ
)
ったり、金持らしい通行人を見かけると、自分が
掏摸
(
すり
)
にでもなった気で、どこまでもどこまでもそのあとを尾行して見たり
屋根裏の散歩者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そうすると他の生徒
等
(
ら
)
は後からも前からも一時に囃し立て鼻緒の切れた
草履
(
ぞうり
)
を投げ付けたり、
互
(
たがい
)
に前の者を押しやって清吉に突き当たり、
白墨
(
はくぼく
)
の
片
(
きれ
)
を投げ付けたり
蝋人形
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
こうすれば、言葉と
白墨
(
はくぼく
)
の線とによって、大きさや角度や三角函数などの概念を注ぎ込むよりも遥かに早く確実に、おまけに面白くこれらの数学的関係を呑み込ませる事が出来る。
アインシュタインの教育観
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
が、突然ふり返ると、さもがっかりしたように
白墨
(
はくぼく
)
の
欠
(
かけ
)
を
抛
(
ほう
)
り出した。
寒さ
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
何の
返事
(
へんじ
)
も聞えません。
黒板
(
こくばん
)
から
降
(
ふ
)
る
白墨
(
はくぼく
)
の
粉
(
こな
)
のような、
暗
(
くら
)
い
冷
(
つめ
)
たい
霧
(
きり
)
の
粒
(
つぶ
)
が、そこら
一面
(
いちめん
)
踊
(
おど
)
りまわり、あたりが俄にシインとして、
陰気
(
いんき
)
に陰気になりました。
種山ヶ原
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
白墨
(
はくぼく
)
を
持
(
も
)
っている
子供
(
こども
)
たちは、めいめい
門
(
もん
)
の
上
(
うえ
)
へ、またあちらの
塀
(
へい
)
の
上
(
うえ
)
へ、まるを
書
(
か
)
きましたが、
白墨
(
はくぼく
)
を
持
(
も
)
っていない
子供
(
こども
)
たちは、ぬかるみのどろんこの
中
(
なか
)
へ
棒
(
ぼう
)
を
入
(
い
)
れて
日の当たる門
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
室内の様子は、前と同じで室内には例の
赤色灯
(
せきしょくとう
)
が
点
(
つ
)
いていた。ただ、顔子狗の
斃
(
たお
)
れていたところには、
白墨
(
はくぼく
)
で
人体
(
じんたい
)
と首の形が描いてあることが、特筆すべき変り方であった。
鬼仏洞事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
山嵐は「おい君どこに
宿
(
とま
)
ってるか、山城屋か、うん、今に行って相談する」と云い残して
白墨
(
はくぼく
)
を持って教場へ出て行った。主任の癖に向うから来て相談するなんて不見識な男だ。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
白墨
(
はくぼく
)
で、大きな「6」の字が書きなぐってあったではありませんか。
少年探偵団
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その時先生が、
鞭
(
むち
)
や
白墨
(
はくぼく
)
や地図を持って入って来られたもんですから、みんなは
俄
(
にわ
)
かにしずかになって立ち、源吉ももう
一遍
(
いっぺん
)
こっちをふりむいてから、席のそばに立ちました。
鳥をとるやなぎ
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
三ちゃんは、ポケットから、
白墨
(
はくぼく
)
を
出
(
だ
)
して、
塀
(
へい
)
に
大
(
おお
)
きなまるを
書
(
か
)
きました。
日の当たる門
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
“白墨”の意味
《名詞》
水で練った焼石膏や白亜の粉末を棒状に固めたもの。チョーク。
(出典:Wiktionary)
白
常用漢字
小1
部首:⽩
5画
墨
常用漢字
中学
部首:⼟
14画
“白”で始まる語句
白
白粉
白髪
白痴
白洲
白眼
白衣
白銀
白刃
白々