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かんしやく
ふりがな文庫
“
癇癪
(
かんしやく
)” の例文
さういふ場合、リヴィングストーンは実に悠長にかまへて、少しも
癇癪
(
かんしやく
)
なんか起さず、無理をせずに有利な結末をつけるのでした。
アフリカのスタンレー
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
少くとも学者らしい顔をする者には忽ち
癇癪
(
かんしやく
)
を起したと見え、常に諷刺的天才を示した独特の皮肉を浴びせかけてゐる。
芭蕉雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
彼女は彼女でその傍に少し膝を崩して坐り、当のない憂欝に引き込まれながら、先刻道助が
癇癪
(
かんしやく
)
を起して物置きの中へ
抛
(
はふ
)
り込んだ小鳥の鳴き声を追つてゐた。
静物
(新字旧仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
「爐の中に地雷火なんか潜り込むわけはないぢやないか、
癇癪
(
かんしやく
)
玉か何んかだらう、——尤も兩端へ節の付いた竹筒を埋めて置いても、それくらゐの
業
(
わざ
)
はやるぜ」
銭形平次捕物控:220 猿蟹合戦
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
構はない、苦学するんだ、なぞと申します。
終
(
しま
)
ひには弟は
癇癪
(
かんしやく
)
を起して、往来で泣き出しますし、私も心配やら
可哀想
(
かはいさう
)
やらで、それに釣り込まれてしまひまして……
姉弟と新聞配達
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
▼ もっと見る
運動不足で
癇癪
(
かんしやく
)
を起して居る犬どもは、繋がれながら、夕方になると、与へた飯を一口だけで見むきもせずに、ものに
怯
(
おび
)
えて、淋しい長い声で何かを訴へて吠え立てた。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
寝てゐる雇人等が皆眼を覚ますほどの声を立てて、お文は
癇癪
(
かんしやく
)
の筋をピク/\と額に動かした。
鱧の皮
(新字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
美しさよりは性格を表はしてゐる點で眼立つきつぱりした鼻、
癇癪
(
かんしやく
)
もちらしい開いた
鼻孔
(
びこう
)
、怖ろしい口元、
頤
(
おとがひ
)
、
顎
(
あご
)
——さうだ、みんな隨分
怖
(
こは
)
さうで、そして間違ひはなかつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
然しさうかうする中に
癇癪
(
かんしやく
)
の潮はその頂上を通り越して、やゝ引潮になつて来た。どんな猛烈な事を頭に浮べて見ても、それには前ほどな充実した真実味が漂つてゐなくなつた。
An Incident
(新字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
それよりして
以來
(
いらい
)
——
癇癪
(
かんしやく
)
でなく、
憤
(
いきどほ
)
りでなく、
先生
(
せんせい
)
がいゝ
機嫌
(
きげん
)
で、しかも
警句
(
けいく
)
雲
(
くも
)
の
如
(
ごと
)
く、
弟子
(
でし
)
をならべて
罵倒
(
ばたう
)
して、
勢
(
いきほひ
)
當
(
あた
)
るべからざる
時
(
とき
)
と
言
(
い
)
ふと、つゝき
合
(
あ
)
つて、
目
(
め
)
くばせして
春着
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
見る見る
癇癪
(
かんしやく
)
を起しさうになつた練吉は、その時ふと或ることを思ひ出して黙つた。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
悠然
(
いうぜん
)
と
車上
(
しやじよう
)
に
搆
(
かま
)
へ
込
(
こ
)
んで
四方
(
しはう
)
を
睥睨
(
へいげい
)
しつゝ
駆
(
か
)
けさせる時は
往来
(
わうらい
)
の
奴
(
やつ
)
が
邪魔
(
じやま
)
でならない右へ
避
(
よ
)
け左へ
避
(
さ
)
け、ひよろひよろもので
往来
(
わうらい
)
を
叱咜
(
しつた
)
されつゝ歩く時は
車上
(
しやじよう
)
の奴
が
(
やつ
)
が
癇癪
(
かんしやく
)
でならない。
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
やはりおせきに
附纏
(
つきまと
)
つてゐるやうに、かれの影を踏みながら
跳
(
おど
)
り狂つてゐるので、要次郎も
癇癪
(
かんしやく
)
をおこして、足もとの小石を拾つて二三度
叩
(
たた
)
きつけると、二匹の犬は悲鳴をあげて逃げ去つた。
影を踏まれた女:近代異妖編
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
小六
(
ころく
)
は
此
(
この
)
氣樂
(
きらく
)
な
樣
(
やう
)
な、
愚圖
(
ぐづ
)
の
樣
(
やう
)
な、
自分
(
じぶん
)
とは
餘
(
あま
)
りに
懸
(
か
)
け
隔
(
へだ
)
つてゐる
兄
(
あに
)
を、
何時
(
いつ
)
も
物足
(
ものた
)
りなくは
思
(
おも
)
ふものゝ、いざといふ
場合
(
ばあひ
)
に、
決
(
けつ
)
して
喧嘩
(
けんくわ
)
はし
得
(
え
)
なかつた。
此時
(
このとき
)
も
急
(
きふ
)
に
癇癪
(
かんしやく
)
の
角
(
つの
)
を
折
(
を
)
られた
氣味
(
きみ
)
で
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
癇癪
(
かんしやく
)
が起つてきた。
イボタの虫
(新字旧仮名)
/
中戸川吉二
(著)
癇癪
(
かんしやく
)
持だけに、生一本で正直者で、思ひつめると待て暫しがありません。
銭形平次捕物控:051 迷子札
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼の調子はます/\
尖
(
とが
)
つて来た。彼はもう
驀地
(
まつしぐら
)
に自分の
癇癪
(
かんしやく
)
に引き入れられて、胸の中で憤怒の情がぐん/\生長して行くのが気持がよかつた。彼は少し
慄
(
ふる
)
へを帯びた声を張り上げて怒鳴り出した。
An Incident
(新字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
「それから——ええと——
癇癪
(
かんしやく
)
を起しちやいけませんつて。」
戯作三昧
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
平次の言葉は、石澤左仲の
癇癪
(
かんしやく
)
を封ずるに充分でした。
銭形平次捕物控:051 迷子札
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“癇癪”の意味
《名詞》
神経質で怒りっぽい性質。
立腹すること。
(出典:Wiktionary)
癇
漢検1級
部首:⽧
17画
癪
漢検1級
部首:⽧
21画
“癇癪”で始まる語句
癇癪持
癇癪玉
癇癪筋
癇癪声
癇癪事
癇癪交
癇癪紛
癇癪面