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疳高
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かんだか
ふりがな文庫
“
疳高
(
かんだか
)” の例文
綺麗な
疳高
(
かんだか
)
い、少し
野趣
(
やしゅ
)
を帯びた笑声が
弾
(
はじ
)
けるように響いた。皆んながおたけの方を見た。人見がこごみ加減に何か話しかけていた。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「ホホホホまだ分らないんですか」と今度はまた庭まで響くほどに
疳高
(
かんだか
)
く笑う。女は自由自在に笑う事が出来る。男は
茫然
(
ぼうぜん
)
としている。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
昼のボーが鳴ると、機械の騒音が順々に吸われるように落ちて行って——急に女工たちの
疳高
(
かんだか
)
い声がやかましく目立ってきた。
工場細胞
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
二けん隣に長唄の師匠があって
疳高
(
かんだか
)
い三味線の音をその灰いろの道のうえに響かせていたのを昨日のことのようにまだわたしは覚えている。
雷門以北
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
この大きな魚漁家の娘の秀江は、
疳高
(
かんだか
)
でトリックの
煩
(
わずら
)
わしい一面と、関西式の
真綿
(
まわた
)
のようにねばる女性の強みを持っていた。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
▼ もっと見る
「いいや、わしのことなら大丈夫でござりまするわい……」と、胸一ぱいに
繃帯
(
ほうたい
)
をした顔色の悪い男が、
疳高
(
かんだか
)
い声で叫んだ。
地球盗難
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
月の西の
尖
(
とが
)
りの直ぐ上に、月と殆ど同じ明るさに光る星を見た。黒み行く下界の森では、鳥共の
疳高
(
かんだか
)
い夕べの合唱。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「お房や、些と
先生
(
せんせい
)
をお起し申し上げたら
可
(
い
)
いじやないか。だツて、もうお午だよ。」と甘ツたるいやうな、それでゐて
疳高
(
かんだか
)
い聲がする。お房の母親の聲だ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
カーキイ服の憲兵が庭へ鮮人を引き出して、着物を引きはいで裸にしたお尻を
鞭
(
むち
)
でひっぱたいている。ひとーつ、ふたーつ、憲兵の
疳高
(
かんだか
)
い声がきこえて来る。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
天井の低い、一部屋だけの、
梯子段
(
はしごだん
)
の上り口から、七輪や炭の俵の置いてあるところを通つて、破れた
襖
(
ふすま
)
ぎはへ立つと、あの聞きおぼえのある、加野の
疳高
(
かんだか
)
い声で
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
「いかさま……」東洋史専攻の謙蔵氏は、だしぬけに東洋中に響き渡るやうな
疳高
(
かんだか
)
な調子で言つた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ちょうど鶏がトキをつくる際のけたたましさに似た、思いがけない
疳高
(
かんだか
)
い声でやるのだ。どこにいても、それこそずいぶん遠くにいても、その咳で、「リュウさん」とわかるのだという。
石ころ路
(新字新仮名)
/
田畑修一郎
(著)
眼は燃えたってき、
蒼
(
あお
)
ざめた顔には赤味がさしてき、声は
疳高
(
かんだか
)
になってきた。その焼きつくすような情火とその
薪
(
まき
)
になってる
惨
(
みじ
)
めな身体との対照を、クリストフは眼に止めざるを得なかった。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
通りかかった火の番小屋の中から、
疳高
(
かんだか
)
い
浪花節
(
なにわぶし
)
の放送が
洩
(
も
)
れてきた。声はたいへん
歪
(
ゆが
)
んでいるけれど、
正
(
まさ
)
しく
蒼竜斎膝丸
(
そうりゅうさいひざまる
)
の「
乃木将軍墓参
(
のぎしょうぐんぼさん
)
の旅」
人造人間事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
お
茶時
(
ちゃどき
)
ででもあるのか、部屋の中には母の
疳高
(
かんだか
)
い話し声や笑い声が娘たちの声に交って陽気にきこえていた。が、母の姿はいつまで経っても現われてこなかった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
突然遠くから或る鈍い物音と、続いて、短い・
疳高
(
かんだか
)
い笑声とが聞えた。ゾッと悪寒が背を走った。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
無暗
(
むやみ
)
に
疳高
(
かんだか
)
に子供は笑った。母親は、勝利は自分のものだと見てとると、指についた飯粒を、ひとつひとつ払い落したりしてから、わざと落ちついて蠅帳のなかを子供に見せぬよう覗いて云った。
鮨
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
その瞬間に勢いよく玄関の
格子戸
(
こうしど
)
ががらっとあいて「おゝ寒い」という貞世の声が
疳高
(
かんだか
)
く聞こえた。時間でもないので葉子は思わずぎょっとして倉地から飛び離れた。次いで玄関口の
障子
(
しょうじ
)
があいた。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
と云ふ
疳高
(
かんだか
)
い大きな声があたりに響きわたつて房一を面喰せた。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
と、
疳高
(
かんだか
)
い声の男が、ぼくを指先につまみあげて、眼のそばへ持っていった。熱い息が、下からぼくを吹きあげる。
もくねじ
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その途端に私は何かしら悪いことが起ったような感じがして、じっと聞耳を立てると、テントの外から、又、妙に
疳高
(
かんだか
)
い声が響いて来た。その声がどうやら趙大煥らしいのだ。
虎狩
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「ふみや、ちょっとこの木の枝を折っておくれ」と祖母の
疳高
(
かんだか
)
い声が私を呼んだ。はっと思って私は
慌
(
あわ
)
てて本を
懐
(
ふところ
)
の中に入れた。が何しろ四六判四百頁近い本なので懐は
不様
(
ぶざま
)
にふくれ上っていた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
廊下に立って、そっと耳を
澄
(
す
)
ましてみると話しているのは、アンと、そしてもう一人は男の声だった。言葉は、フランス語だった。男の声は、いやに
疳高
(
かんだか
)
い。
英本土上陸戦の前夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
澗間
(
たにま
)
の
凹地
(
おうち
)
に引出された女どもの
疳高
(
かんだか
)
い
号泣
(
ごうきゅう
)
がしばらくつづいた後、突然それが夜の沈黙に
呑
(
の
)
まれたようにフッと消えていくのを、軍幕の中の将士一同は
粛然
(
しゅくぜん
)
たる思いで聞いた。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
主人の名を呼ぶ署長の声はだんだん
疳高
(
かんだか
)
くなり、それと共に顔色が青くなっていった。
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
鳳凰樹
(
ほうおうじゅ
)
の茂みの向うから、
疳高
(
かんだか
)
い——それでいて
何処
(
どこ
)
か押し
潰
(
つぶ
)
されたような所のある——チャモロ女の合唱の声が響いて来る。スペインの尼さんの所の礼拝堂から洩れてくる夕べの讃美歌である。
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
ただ——それから一町ほど先で、カチリと金属の
擦
(
す
)
れあう
疳高
(
かんだか
)
い音響が聞えた。
くろがね天狗
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
しきりと
疳高
(
かんだか
)
い東京弁で訳もわからないことを呶鳴りちらしていた筈である。
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ところが入ってみると、上の方で大きなものの暴れるガタンガタンとひどい音だ。
呻
(
うな
)
るような吠えるような声がする——。そこへ突然私の名が呼ばれた。
疳高
(
かんだか
)
いが、
紛
(
まぎ
)
れもなく帆村の声だった。
ゴールデン・バット事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「どこからあの家へ行けるんだろう」と兄が
疳高
(
かんだか
)
い声で叫びました。
崩れる鬼影
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その気もちを、ぶち破ったのは、オルガ姫の
疳高
(
かんだか
)
い悲鳴だった。
地球要塞
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「おう、組長、大変だア」
疳高
(
かんだか
)
い声で叫ぶものがある。
夜泣き鉄骨
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
横合
(
よこあい
)
から、
疳高
(
かんだか
)
い声が聞えた。
もくねじ
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
疳
漢検1級
部首:⽧
10画
高
常用漢字
小2
部首:⾼
10画
“疳”で始まる語句
疳
疳癪
疳性
疳癖
疳違
疳走
疳癪玉
疳癪持
疳癪筋
疳癪声