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當家
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たうけ
と
夫人とも/″\
切に
勸めるので、
元來無遠慮勝の
私は、
然らば
御意の
儘にと、
旅亭の
手荷物は
當家の
馬丁を
取りに
使はし、
此處から
三人打揃つて
出發する
事になつた。
我々が手に下されん事は
勿體なし
御幼年の内は
御預り申
上御成長遊し候後は
太守樣の御元へ
御返し申上
何方へなりとも然るべき方へ
御養子に入らせらるゝ樣に
御取計ひ有て
宜しかるべし
當家相續などとは思ひも寄らず私し今日より
御乳を
いろ/\の
厚き
待遇を
受けた
後、
夜の八
時頃になると、
當家の
番頭手代をはじめ
下婢下僕に
至るまで、
一同が
集つて
送別の
催をする
相で、
私も
招かれて
其席へ
連なつた。
お
銚子なら、まだしもだが、
催、
稽古なんど
忙しい
時だと、ビールで
湯どうふで、
見る/\うちに
三挺ぐらゐぺろりと
平らげる。
當家のは、
鍋へ、そのまゝ
箸を
入れるのではない。