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御返
詮議なしたれども何分知れず是は
知ぬ
筈の事なり
其は文右衞門さんが
不※した出來心夫も
無理とは思はず
斯貧窮致さるゝゆゑ如何に
手堅き人にても心の
駒の狂ふのは
是有うちなり
然とて其儘
捨ても置れず
迷惑なすは我等のみ因て其百兩の金子は
早々御返し下されよ
然すれば人の耳にも
入ず内々事を
我々が手に下されん事は
勿體なし
御幼年の内は
御預り申
上御成長遊し候後は
太守樣の御元へ
御返し申上
何方へなりとも然るべき方へ
御養子に入らせらるゝ樣に
御取計ひ有て
宜しかるべし
當家相續などとは思ひも寄らず私し今日より
御乳を