片眼かため)” の例文
ドンナ人だと聞くと、「大きな人で、眼が片眼かためで、長い刀をして居ますとうから、コリャ物騒な奴だ、名は何と云う。 ...
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
私はチョッキのポケットからペンナイフを取り出し、それを開き、そのかわいそうな動物の咽喉のどをつかむと、悠々ゆうゆうとその眼窩がんかから片眼かためをえぐり取った。
黒猫 (新字新仮名) / エドガー・アラン・ポー(著)
振返ふりかえればむねひか徽章きしょうやら、勲章くんしょうやらをげたおとこが、ニヤリとばかり片眼かためをパチパチと、自分じぶんわらう。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
そしてこの一騒ぎ演じた大男も、さすがに今の死に損なった恰好かっこうを思い出したのであろう、片眼かためつぶって面白くもなさそうな顔をしながらニヤリと苦笑して見せた。
葛根湯 (新字新仮名) / 橘外男(著)
やぶれかぶれにあばれてあばれて、正太郎しようたらうつらきず一つ、れも片眼かため片足かたあしなきものとおもへばやすし、加擔人かたうど車屋くるまやうし元結もとゆひよりのぶん手遊屋おもちやゝ彌助やすけなどあらばけはるまじ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
土方が真昼中甲州街道をまだ禁菓きんかわぬアダム同様無褌むふんどし真裸まっぱだかで横行濶歩、夜はの様な家へでも入込むので、未だ曾て戸じまりをしたことがない片眼かためばあさんのあばら家まで
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
悪魔は娘の手をひいて、向うのどてのかげまで行くと片眼かためをつぶって云いました。
ひのきとひなげし (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
『どうもわからん』とつゞけて、ひざうへうたひろげ、片眼かためながら
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
片眼かためでいきなりのぞんだのであろう。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
振返ふりかへればむねひか徽章きしやうやら、勳章くんしやうやらをげたをとこが、ニヤリとばか片眼かためをパチ/\と、自分じぶんわらふ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
もうひどく腐爛ふらんして血魂が固まりついている死骸が、そこにいた人々の眼前にすっくと立った。その頭の上に、赤い口を大きくあけ、爛々たる片眼かためを光らせて、あのいまわしい獣がすわっていた。
黒猫 (新字新仮名) / エドガー・アラン・ポー(著)
『あゝ貴方あなたこゝれられましたのですか。』とかれしはがれたこゑ片眼かためほそくしてふた。『いや結構けつこう散々さん/″\ひとうしてつたから、此度こんど御自分ごじぶんはれるばんだ、結構々々けつこう/\。』
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
『ああ貴方あなたもここへれられましたのですか。』とかれしわがれたこえ片眼かためほそくしてうた。『いや結構けっこう散々さんざんひとをこうしてったから、こんどは御自分ごじぶんわれるばんだ、結構々々けっこうけっこう。』
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
片眼かためをパチ/\して。『是非ぜひ一つきみ結婚けつこんさせやう……ねえ、結婚けつこんを。』
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
片眼かためをパチパチして。『是非ぜひ一つきみ結婚けっこんさせよう……ねえ、結婚けっこんを。』
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)