河口かこう)” の例文
つまり河流かりゆう上汐あげしほとが河口かこう暫時ざんじたゝかつて、つひ上汐あげしほかちめ、海水かいすいかべきづきながらそれが上流じようりゆうむかつていきほひよく進行しんこうするのである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
「クリムスビーというと、北海ほっかいそそぐハンバー河口かこうを入って、すぐ南側にある小さい町です。河口は、なかなかいい港になっています」
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
さるが故に、私は永代橋えいたいばしの鉄橋をばかへつてかの吾妻橋あづまばし両国橋りやうごくばしの如くにみにくいとは思はない。新しい鉄の橋はよくあたらしい河口かこうの風景に一致してゐる。
水 附渡船 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
足下あしもとには層をなして市街の屋根が斜めに重なり、対岸には珠江しゆかう河口かこういだいた半島が弓形きゆうけいに展開し、其間そのあひだひさごいた様な形で香港ホンコン湾があゐを湛へて居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
そこで、二人は手を取って、大通りまで駈け出すと、タクシーをやとって、隅田河口かこうへと飛ばした。
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
いま松島海軍大佐閣下まつしまかいぐんたいさかくかは、英國エイこくテームス河口かこう造船所ざうせんじよから、新造軍艦しんざうぐんかん」の廻航中くわいかうちうで、本艦ほんかん昨曉さくげうアデン海口かいこうで、いましも此印度洋を進航しんかうしてると、丁度ちやうど輕氣球けいきゝゆう天上てんじやうからちてたので
蘇西スエズ河口かこうの上に建てられたこの市街は狭いながらも欧洲の入口だけ余程よほど東洋の諸港とちがつた感がした。どの酒舗バアにも茶店カフエエにも早天から客が詰め掛けて居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
海嘯かいしよう潮汐ちようせき干滿かんまん非常ひじようおほきなうみむかつて、河口かこう三角さんかくなりにおほきくひらいてゐるところおこ現象げんしようである。支那しな淅江省せつこうしよう錢塘江せんとうこう海嘯かいしようについてもつと有名ゆうめいである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
群衆をまいたら、そのあとでまたテームズ河口かこうに目立たないように着水させてふたたび引きとるのだ。ケンブリッジ大学の生物学会から、ロロー殿下への面会が申しこまれてあるんだよ。
海底大陸 (新字新仮名) / 海野十三(著)
新しい鉄の橋はよく新しい河口かこうの風景に一致している。
河口かこうには、たしかに防潜網ぼうせんもうを吊っているらしい浮標ブイが、おびただしく浮び、河口を出ていく数隻すうせき商船群しょうせんぐんの前には、赤い旗をたてた水先案内みずさきあんないらしい船が見えるが、これは機雷原きらいげんけていくためであろう。
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)