やま)” の例文
聞てさてこそ只今申通り我々を召捕了簡と相みえたりと云へば皆々山内が明察めいさつを感じてやまざりしと扨も越前守は若黨草履取を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
懊悩おうのうとしてうきへざらんやうなる彼の容体ようたい幾許いくばくの変も見えざりけれど、その心に水と火の如きものありて相剋あひこくする苦痛は、ますます募りてやまざるなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
何をか調実の物と言ふ、マホメット説けり、釈氏説けり、真如と呼び、真理と称へ、東西の哲学者が説明を試みてやまざる者即ちこれなり。而して吾人は之を基督といふ。
最後の勝利者は誰ぞ (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
春になつたので女の装飾が大分だいぶ変り出した。ふちの狭い頭巾帽トツカやまつてふちの広い円帽シヤポウに移つてく。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
それいかりののしりやまざれば約々せわ/\しく腹立はらたつことおおくして家の内静ならず。悪しき事あらば折々言教いいおしえて誤をなおすべし。少のあやまちこらえいかるべからず、心の内にはあわれみほかには行規を堅くおしえて怠らぬ様に使ふべし。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
この意しきりにやまざる所なり云々
行く下されること數度なり左右の松山にヂイ/\と濁りし聲に啼く虫あり何ぞと聞ば松虫と答ふ山に掛れば數万本の松皆赤枯れて火に燒けたる如し又問へば松虫が皆な喰ひ枯せしなりといふ松に此虫がけば滿山枯し盡さねばやまず其形は毛虫の如くにて憎むべきものなりと云ふ嗚呼あゝ松に生じ松によりて育ちながら新芽を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
搖上ゆりあ搖下ゆりおろ此方こなたたゞよひ彼方へゆすれ正月四日のあさこくより翌五日のさるこくまで風は少しもやま吹通ふきとほしければ二十一人の者共は食事しよくじもせす二日ふつか二夜ふたよ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
つかんで十兵衞が其の儘息はたえにけり長庵刀の血をぬぐひてさやに納め懷中くわいちう胴卷どうまきを取だし四十二兩はふくかみおとゝの身には死神しにがみおのれがどうにしつかりくゝり雨もやまぬにからかさ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)