本場ほんば)” の例文
勝手かってなりくつをかんがえて、ぴょいと、木へ飛びつくと、これはまたあざやかなもの。なにしろ、本場ほんば鞍馬くらまの山できたえた木のぼり。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
以上いじやうべたところ總括そうくわつして、化物思想ばけものしさうはどういふところもつとおほ發達はつたつしたかとかんがへてるに、化物ばけもの本場ほんば是非ぜひ熱帶ねつたいでなければならぬことわかる。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
行儀ぎやうぎよさで、たとへば卓子テーブルうへにも青羅紗あをらしやとかしろネルとかをいて牌音パイおとやはらげるやうにしてあるのが普通ふつうだが、本場ほんば支那人しなじん紫檀したん卓子テーブルうへでぢかにあそぶのが普通ふつう
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
次に本場ほんば寄席よせれて行つてやると云つて、又細い横町へ這入つて、木原店きはらだなと云ふ寄席よせがつた。此所こゝで小さんといふ話しを聞いた。十時過ぎ通りへ出た与次郎は、又
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
その他、本場ほんばものの穴子あなご煮方にかたうまいとか、赤貝あかがいなら検見川けみがわ中形ちゅうがた赤貝を使うとかで、よしあしはわけもなくわかるが、とにかくまず材料がよくなくては上等寿司には仕上がらない。
握り寿司の名人 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
「ほほう。本場ほんば長崎ながさき勉強べんきょうしただけあって、きみは、よみかたがうまい。」
口ぐちに芋女芋女といっているのは、この地方がさつま芋の本場ほんばであり、その芋畑のまん中にある女学校なので、こんないたずらな呼びかたも生まれたわけだ。小林先生もその芋女出身だった。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
紀州は蜜柑みかん謀叛人むほんにん本場ほんばである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
さら印度いんどくと、印度いんどほとん化物ばけもの本場ほんばである。印度いんど地形ちけい支那しなおなじくきはめて廣漠かうばくたるもので、そのやぶがあるといふごとき、かならずしも無稽むけいげんではない。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
實際じつさいまた熱帶國ねつたいこくには不思議ふしぎ動物どうぶつれば、不思議ふしぎ植物しよくぶつもある。これすこかたちへると化物ばけものになる。印度いんどじつ化物ばけもの本場ほんばであつて、神聖しんせいなる史詩ししラーマーヤナとうには化物ばけもの澤山たくさんる。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)