書肆しよし)” の例文
今ここに、書肆しよしから望まれるにそれ等の見聞記を集めて読み返して見ると、すべて卒爾そつじに書いた杜撰づざん無用の文字のみであるのに赤面する。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
彼が生きてゐる間は、小さいながら財産の全部を保菅してゐる Notarノタアル の手で、利足りそくの大部分が西洋の某書肆しよしへ送られるのである。
妄想 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
明治廿二年、予の始めて上京するやたま/\銀座の街を歩し書肆しよしに於て一冊を得たり、題して楚囚そしうの詩とふ。予は之れを読んで其言の欝愴うつさうたるを奇としたりき。
北村透谷君 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
(余芭蕉年表一名はせを年代記といふものを作せり、書肆しよしこくを乞ども考証未足ゆゑに刻をゆるさず)おきな身を世外せいぐわいおきて四方に雲水うんすゐし、江戸にあとをとゞめず。
これは上下二巻で、千八百六十三年、ニユウヨオクのハアバア書肆しよしから出てゐる。揷絵さしゑ沢山たくさんあり、その中にはまた、蕙斎けいさいの漫画などを複製したものも沢山たくさんある。
日本の女 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
石の迫持せりもちの下なる長き廊道わたどのみちには、書肆しよしあり珠玉店あり繪畫鋪あれども、足を其前に留むるもの多からず。
よつ其駁雑そのはくざつけづり、校訂かうてい清書せいしよし、豚児とんじ京水にゑがゝしめしもの三巻、書賈しよかこひおうじ老人につげゆるもつてしきしに、発販はつはん一挙いつきよして七百余部よぶひさげり。これより書肆しよし後編こうへんふ。
書肆しよしも無論賛成で既に印刷に回して活字に組み込まうとまでした位である。所が其頃そのころ内閣が変つて、著書の検閲が急に八釜敷やかましくなつたので、書肆は万一をおもんぱかつて、直接に警保局長の意見を確めに行つた。
『煤煙』の序 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
書肆しよしと作家10・3(夕)
(余芭蕉年表一名はせを年代記といふものを作せり、書肆しよしこくを乞ども考証未足ゆゑに刻をゆるさず)おきな身を世外せいぐわいおきて四方に雲水うんすゐし、江戸にあとをとゞめず。
この寒山かんざん拾得じつとく」とはなしは、まだ書肆しよしにわたしはせぬが、多分たぶん新小説しんせうせつることになるだらう。
寒山拾得縁起 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
Jules Sandeau のいとこが Palais Royal のカツフエへ行つてゐると、出版書肆しよしのシヤルパンテイエが、バルザツクと印税の相談をしてゐた。
点心 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
談は出版物に及んで「先年日本の書肆しよしの希望に任せて小さな一書を東京で出版した事がある」
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
わたしは知人の田崎たざきに面会する為に彼が勤めてゐる出版書肆しよしの狭い応接室の椅子いすつてゐた。
塵労 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
よつ其駁雑そのはくざつけづり、校訂かうてい清書せいしよし、豚児とんじ京水にゑがゝしめしもの三巻、書賈しよかこひおうじ老人につげゆるもつてしきしに、発販はつはん一挙いつきよして七百余部よぶひさげり。これより書肆しよし後編こうへんふ。
ちなみに云ふ。「古今ここん実物語」は宝暦はうれき二年正月出板、土冏然とけいぜんの漢文の序あり。書肆しよしは大阪南本町一丁目村井喜太郎むらゐきたらう、「古今百物語」、「当世百物語」号と同年の出版なりしも一興ならん
案頭の書 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
天下の書肆しよし皆新作家の新作品を市に出さんとする時に当り、内田百間氏を顧みざるは何故ぞや。僕は佐藤春夫氏と共に、「冥途」を再び世に行はしめんとせしも、今に至つて微力その効を奏せず。
内田百間氏 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)