あつたか)” の例文
見れば、自分の爲に新しい茶碗ちやわんかくはしまでが用意されてあツた。周三は一しゆあつたか情趣じやうしゆを感じて、何といふ意味も無くうれしかつた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
つぼみかたくツてもお天氣てんきとほり、また小田原をだはらには、あつたかいこと日本一につぽんいちだ、なあ御亭主ごていしゆ
城の石垣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ああ、さう、何でもあはせを着てゐたから、丁度今時分でした。湖月こげつさんのあの池に好いお月がしてゐて、あつたかい晩で、貴方と一処に涼みに出たんですよ、善く覚えてゐる。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
加之いろなら圖柄づがらなら、ただあつたかく見せる側の繪といふことがわかるだけで、何處に新機軸しんきじゆくを出したといふ點が無い。周三の覗ツたまとはすツかりはづれた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
やすましておくれ、とこしをかけて一息ひといきつく。大分だいぶあつたかでございますと、ばゞあかゞね大藥罐おほやくわんちやをくれる。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
たがひなかあつたかとこがあツて欲しいといふことなんだ………が、おれの家では、お前もひとりなら、俺もひとりだ。お互に頑固に孤獨を守ツてゐるのだから、したがツてお互にひやツこい。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
さるほどに、美人びじんたちの寄附きふによつて、づらりとあつたかいものがならんで、金屏風きんびやうびもキラ/\とかゞやわたり、やきのりをたていて心配しんぱいしてた、藤村ふぢむらやさしい妹分いもとぶんも、うれしさうなかほをした。
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そりやうですけれども、うちにゐらツしツて見れば、豈夫まさかお先へ戴くことも出來ないぢやありませんか。加之しかもビフテキを燒かせてあるのですから、あつたかうち召喫めしあがツて頂戴な。ね、貴方あなた
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)