ポカラという所はネパール山中では甚だ美しい都会であたかも日本の山水明媚なる中に別荘が沢山建ててあるかのごとくに見えます。
こういうものに比べて見たときに、このいわゆる「油絵」の温雅で明媚な色彩はたしかに驚くべき発見であり啓示でなければならなかった。
しかしながら天然の風光が明媚で、また、四時の巡環が順序よく行われる、その天恵を享受しているこの日本にあっては
明媚な風光と新式の宝蔵殿は一切を居心地のよい観覧地と化してしまった。これが人生の常なのかもしれないが、私にとっては何となく不安なのである。