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捕捉
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ほそく
ふりがな文庫
“
捕捉
(
ほそく
)” の例文
張遼と関羽とは、
旧
(
ふる
)
くからの朋友である。実に、情の人関羽は、この悲境の友人を、
捕捉
(
ほそく
)
して殺すには忍びなかったのである。
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あまりに突飛な言葉に小田さんも私もしばらく、意味を
捕捉
(
ほそく
)
するに苦しみました。と、この姿を見てとった俊夫君は、次のように語りました。
墓地の殺人
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
彼の結論の
茫漠
(
ぼうばく
)
として、彼の鼻孔から
迸出
(
ほうしゅつ
)
する朝日の煙のごとく、
捕捉
(
ほそく
)
しがたきは、彼の議論における唯一の特色として記憶すべき事実である。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「私のは少しむずかしいかもしれませんよ。
曰
(
いわ
)
く、王者にして、その声天地にあまねく、その
姿
(
すがた
)
得
(
え
)
て
捕捉
(
ほそく
)
すべからず」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
それ
故
(
ゆえ
)
に有限なものを通して無限なものを
捕捉
(
ほそく
)
し得る者は、私の
唯
(
ただ
)
一つの思想感情もしくは行為を知ることによってさえ、私がまことの神の信者であるか
人生論ノート
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
▼ もっと見る
現在までの物理学はまだそれらを問題として
捕捉
(
ほそく
)
し解析の
俎上
(
そじょう
)
に載せうるだけに進んでいないように見える。
物理学圏外の物理的現象
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
人には
誰
(
た
)
が上にも好きな人、いやな人というものがある。そしてなぜ好きだか、いやだかと
穿鑿
(
せんさく
)
してみると、どうかすると
捕捉
(
ほそく
)
するほどの
拠
(
よ
)
りどころがない。
阿部一族
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
如上
捕捉
(
ほそく
)
する事も出来ない、御注文から脱線したとりとめもないものに終ったが、予めお断りして置いた通り常にプレイする以外に研究の用意も、野心もない私に
亡び行く江戸趣味
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
している。しかし偉大なる露西亜の胡瓜はそう云う浅薄な色ではない。この通り人生そのものに似た、
捕捉
(
ほそく
)
すべからざる色をしている。ああ、偉大なる露西亜の胡瓜は……
不思議な島
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その慕情がフワフワと空に浮いている雲か
霞
(
かすみ
)
かのような
捕捉
(
ほそく
)
しがたい状態で、それゆえ悲しくもまた、春の霞、夏の雲でも眺めるように何か楽しかったものだったが、急に
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
過
(
すぐ
)
る者は送るがごとく、
来
(
きた
)
るものは
迎
(
むか
)
うるに似たり。赤き岸、白き
渚
(
なぎさ
)
あれば、黒き岩、黄なる
崖
(
がけ
)
あり。
子美太白
(
しびたいはく
)
の才、
東坡柳州
(
とうばりゅうしゅう
)
の筆にあらずはいかむかこの光景を
捕捉
(
ほそく
)
しえん。
突貫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
明け暮れただ河面を眺め
乍
(
なが
)
ら、張り
亘
(
わた
)
った意識の中から知らず知らず磨き出されて来る作家本能の触角で、私の物語の娘に書き加える性格をゆくりなく
捕捉
(
ほそく
)
できるかも知れない。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
いつしか自分でも
捕捉
(
ほそく
)
に苦しむ得体の知れない暗いかげがきざし、その不安が次第に大きなものとなり、確信に満ちていた心に動揺の生じ来ったことを自分みずから自覚しはじめ
癩
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
赤い雪は地に落ちても依然として赤かったそうであるが、原因は
捕捉
(
ほそく
)
するよしもない。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
そこにはキリスト教徒として目をそむけなければならないような場面がないではなかったけれども、終わりのほうに近づいて行っての荘厳さは見物人のすべてを
捕捉
(
ほそく
)
してしまいました。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「情慾」と云うには余りに
神韻漂渺
(
しんいんひょうびょう
)
とした、
捕捉
(
ほそく
)
し難い夢見心地だったでしょう。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
死んだ後までも彼らが
永
(
とこし
)
えに、彼女の胸に
懐
(
なつ
)
かしい思い出の影像となって
留
(
とど
)
まっていると思えば、やっぱり、私は、
捕捉
(
ほそく
)
することの出来ないような、変な
嫉妬
(
しっと
)
を感じずにはいられなかった。
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
だのに、伝六というやつはおよそ
捕捉
(
ほそく
)
しがたい
岡
(
おか
)
っ
引
(
ぴ
)
きです。
右門捕物帖:17 へび使い小町
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
しかも、城門から
殺出
(
さっしゅつ
)
した真田昌幸の兵は、その火や煙を利用し、出没を極め、徳川勢をいたるところに
捕捉
(
ほそく
)
して
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
漠然
(
ばくぜん
)
として
捕捉
(
ほそく
)
すべき筋が貫いておらん。しかし彼らから云うとこうである。筋とは何だ。世の中は筋のないものだ。筋のないもののうちに筋を立てて見たって始まらないじゃないか。
写生文
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「やさしく申しあげます。その声天地にあまねく、その
姿
(
すがた
)
捕捉
(
ほそく
)
すべからざる王者」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
私はうすら冷たくほのぼのとした河明りが、障子にうつるこの室に座りながら、私の最初のプランである、私の物語の娘に附与すべき性格を
捕捉
(
ほそく
)
する努力を決して捨ててはいない。芸術は運命である。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
甲軍の作戦内容は、大略、全軍を二分して、例の啄木の戦法で、敵の一面を
搏
(
う
)
ち、一面を
捕捉
(
ほそく
)
殲滅
(
せんめつ
)
するにある。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「こうならない前」という言葉は
曖昧
(
あいまい
)
であった。津田はその意味を
捕捉
(
ほそく
)
するに苦しんだ。
肝心
(
かんじん
)
のお延にはなお解らなかった。だから
訊
(
き
)
かれても説明しなかった。津田はただぼんやりと念を押した。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
こういう
寡兵
(
かへい
)
で立ち向ったとき、相手の兵数に呑まれて、身を
恟
(
すく
)
め、狭地を守り、防ぐばかりを能としていたら、その孤立は完全に、敵の
捕捉
(
ほそく
)
にまかすしかない。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
潰走
(
かいそう
)
乱軍のなかに、武田方の
好餌
(
こうじ
)
となって
捕捉
(
ほそく
)
されたり、もうひとつの原因は、丹波島の下流にあたる犀川の深い流域へ、向う見ずに駆けこんで、溺れ流されたり
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
つぶうるしの
鎧
(
よろい
)
を着、
虎御前
(
とらごぜ
)
の大太刀を横たえて、三軍のうちに軍師として在る日は、一
謀
(
ぼう
)
に千兵をとらえ、一策に百軍を
捕捉
(
ほそく
)
して、これに
殲滅
(
せんめつ
)
を加えてすらなお
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お
館
(
やかた
)
、お館ッ。敵の一万を
捕捉
(
ほそく
)
して、みなごろしにする機は、いまを
措
(
お
)
いてありません。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
長久手を
迂回
(
うかい
)
し、徳川勢の最左翼——つまり赤備えが挙げて前に押し出したあとを狙って、敵の中核を急襲し、全山の陣容がみだるるを見て——家康を
捕捉
(
ほそく
)
しようと考えたのである。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
義昭は京都を落ちて、宇治の
槙島
(
まきしま
)
へたて
籠
(
こも
)
ったが、もとより無謀、それに敗残の寡兵である。やがて信長の追撃が、平等院の川下、川上から押しわたると、
一支
(
ひとささ
)
えもなく、
捕捉
(
ほそく
)
されてしまった。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いたるところで敗敵を
捕捉
(
ほそく
)
しほとんどこれを
殲滅
(
せんめつ
)
してしまった。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、
捕捉
(
ほそく
)
に迷った。
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“捕捉”の意味
《名詞》
捕 捉(ほそく)
捕まえること。
(出典:Wiktionary)
捕
常用漢字
中学
部首:⼿
10画
捉
常用漢字
中学
部首:⼿
10画
“捕捉”で始まる語句
捕捉殲滅
捕捉滅尽