ふら)” の例文
ふら否々いや/\其方が申す所一ツとして申譯は相成ず欲情よくじやうかゝりては實の親子しんし兄弟の中成とも心得ちがひの者往々まゝある事なれば彌々いよ/\ちんずるに於ては拷問がうもん申付るぞ其方がくびに掛し百兩入の財布さいふは則ち平兵衞を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
三「ほうらそろ/\始まった、これだからうっかりした事は云われない……お母さん然う前置からことばふらずに前文無しで結著けっちゃくの所を云って下さらなくっちゃア困りやすで……旦那あなたの思召おぼしめしは」
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
あしがくれの大手おほてを、をんなけて、微吹そよふ朝風あさかぜにもらるゝ風情ふぜいで、をとこふらつくとゝもにふらついてりてた。……しこれでこゑがないと、男女ふたり陽炎かげらふあらはす、最初さいしよ姿すがたであらうもれぬ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ば後になし歸ると聞しとらもんも歸らぬ旅にゆくそらの西の久保より赤羽あかばねの川は三としらかべ有馬ありま長家も打過て六堂ならねどふだつじ脇目わきめふらず急ぎしか此程高輪たかなわよりの出火にて愛宕下通りあたらし橋邊まで一圓に燒原やけはらとなり四邊あたり曠々くわう/\として物凄ものすごく雨は次第に降募ふりつのり目先も知ぬしんやみ漸々やう/\にして歩行あゆみける折しもひゞかね
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)