戸外こがい)” の例文
マルモ探検隊員の多くは起き出して、戸外こがいを見た。その怪音の正体は、目に見えた。それは空から落ちてくる「光る円筒」であった。
三十年後の世界 (新字新仮名) / 海野十三(著)
われ/\は子供こども時分じぶんにはをしへられた。最初さいしよ地震ぢしんかんじたなら、もどしのないうち戸外こがい飛出とびだせなどといましめられたものである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
即ち朋友に信といい、長幼に序といい、君臣または治者・被治者の間に義というが如く、大切なる箇条あり。これを人生戸外こがいの道徳という。
日本男子論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
戸外こがいには、丑満の暗黒やみにつつまれた木立ちが、真っ黒に黙して、そのうえに、曲玉まがたまのようにかかっているのは、生まれたばかりの若い新月。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
ははむすめは、戸外こがいさけ雨風あめかぜおとみみまして、火鉢ひばちのそばでおはなしをしていました。それはよるの八ごろでありました。
風雨の晩の小僧さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
第二に、健康けんこうになる。植物に趣味を持って山野さんやに草や木をさがし求むれば、自然に戸外こがいの運動がるようになる。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
百合 (人形を抱き、なまめかしき風情にて戸を開き戸外こがいに出づ。)夜の長い事、長い事……何の夏が明易あけやすかろう。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
塾生たちは戸外こがいの作業が全くできないために、やはりとじこめられた形だった。しかし、次郎にとっては、昨日の日曜にくらべるとはるかに楽な日だった。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
さればといって、この悪魔の弟子どもを戸外こがいに放つならば、とたんに四方八方へかけ出し、これをかき集める苦労というものは、ほとんど筆紙に尽せぬほど。
とき丁度ちょうど時過じすぎ。いつもなら院長いんちょう自分じぶんへやからへやへとあるいていると、ダリュシカが、麦酒ビール旦那様だんなさま如何いかがですか、と刻限こくげん戸外こがいしずか晴渡はれわたった天気てんきである。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
その近所きんじょにはいまでもきつねたぬきがいるそうで、ふゆよるなど、ひと便所べんじょにゆくため戸外こがいるときには、をあけるまえに、まず丸太まるたをうちあわせたり、はしらたけでたたいたりして
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
「ですけれども、まさか戸外こがいでやるわけにもいかないからでしょう」
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
おじいさんも、このごろ、こんなようながつづきました。戸外こがいは、秋日和あきびよりで、空気くうきがすんでいて、はるかのふもとをとお汽車きしゃおとが、よくきこえてきます。
とうげの茶屋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「そうだ。屋上へ上って、一つ、戸外こがいの様子を見てやれ」
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「馬鹿ッ! そこは戸外こがいではないか」
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
戸外こがいに、やかましいサイレンの音が鳴り出しました。
崩れる鬼影 (新字新仮名) / 海野十三(著)
私は戸外こがいの暗闇に走りでた。
柿色の紙風船 (新字新仮名) / 海野十三(著)