懷姙くわいにん)” の例文
新字:懐姙
付させられ懷姙くわいにんし母お三婆のもとへ歸るみぎり御手づから御墨付すみつきと御短刀たんたうそへて下し置れしが御懷姙の若君わかぎみは御誕生たんじやうの夜むなしく逝去遊おかくれあそばせしを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
懷姙くわいにんこときまつたとき、御米およねこのあたらしい經驗けいけんたいして、おそろしい未來みらいと、うれしい未來みらい一度いちどゆめやう心持こゝろもちいだいてごした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
滑稽こつけいなのは、日本にほん麻雀道マージヤンだうのメツカのしようある鎌倉かまくらではだれでもおくさんが懷姙くわいにんすると、その檀那樣だんなさまがきつと大當おほあたりをするとふ。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
うちかれよめをとつてちひさな世帶しよたいつてかせぐことになつた。よめもなく懷姙くわいにんしたが胎兒たいじんでさうして腐敗ふはいしてた。自分じぶん他人ひとかさだといつた。二三にんうまれたがどれも發育はついくしなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
奧方おくがたにはあまりふしぎなる夢なればとて大納言光貞卿に告給つげたまへば光貞卿ふかよろこびこの度懷姙くわいにんの子男子なんしならば器量きりやうすぐれ世に名を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
すると三度目どめ記憶きおくた。宗助そうすけ東京とうきやううつつてはじめてのとしに、御米およねまた懷姙くわいにんしたのである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
其方懷姙くわいにんのよし我等血筋ちすぢ相違さうゐ是なしもし男子なんし出生に於ては時節じせつを以て呼出よびいだすべし女子たらば其方の勝手かつてに致すべし後日ごにち證據しようこの爲我等身にそへ大切に致候短刀たんたう相添あひそへつかはし置者也依而よつて如件くだんのごとし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)