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憂
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うき
ふりがな文庫
“
憂
(
うき
)” の例文
お通は
止
(
や
)
むなく死力を出して、瞬時伝内とすまいしが、風にも堪えざるかよわき
婦人
(
おんな
)
の、
憂
(
うき
)
にやせたる身をもって、いかで健腕に敵し得べき。
琵琶伝
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
始終の
憂
(
うき
)
に
瘁
(
やつ
)
れたる宮は決して
美
(
うつくし
)
き色を減ぜざりしよ。彼がその美しさを変へざる限は夫の愛は
虧
(
か
)
くべきにあらざりき。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
聞きたるに叔母お早に相違なく且つ先年家出せし後此娘お梅と云るを
設
(
まう
)
け當時は此宿に足を
止
(
と
)
め人に雇はれ
憂
(
うき
)
年月を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
われらごとき大飲家は
再従兄弟
(
ふたいとこ
)
までも飲みはしないかと疑わるるごとく、蜥蜴群に毒物と言わるるものが多いからこれも
憂
(
うき
)
には
洩
(
も
)
れぬわが身なりけりで
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
風なく波なく、さしくる
潮
(
うしお
)
の、しみじみと砂を
浸
(
ひた
)
す音を翁は
眼
(
まなこ
)
閉じて聴きぬ。さすらう旅の
憂
(
うき
)
もこの
刹那
(
せつな
)
にや忘れはてけん、翁が心、今ひとたび童の昔にかえりぬ。
たき火
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
まゝならぬ世の習はしは、善きにつけ、惡しきにつけ、
人毎
(
ひとごと
)
に
他
(
ひと
)
には測られぬ
憂
(
うき
)
はあるものぞかし。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
生憎
(
あいにく
)
、細君が留守であったので、
憂
(
うき
)
を別つべき相手はなく、時々門の方をおずおず眺めては、今にも誰かが、息せき切って
馳
(
は
)
せ込んで来はしないかと心配するのであった。
初往診
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
憂
(
うき
)
よ思よ一春の
天地有情
(旧字旧仮名)
/
土井晩翠
(著)
懊悩
(
おうのう
)
として
憂
(
うき
)
に
堪
(
た
)
へざらんやうなる彼の
容体
(
ようたい
)
に
幾許
(
いくばく
)
の変も見えざりけれど、その心に水と火の如きものありて
相剋
(
あひこく
)
する苦痛は、
益
(
ますます
)
募りて
止
(
やま
)
ざるなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
渠
(
かれ
)
は
煙草
(
たばこ
)
を
嗜
(
たしな
)
むにあらねど、
憂
(
うき
)
を忘れ草というに頼りて、飲習わんとぞ務むるなる、深く吸いたれば思わず
咽
(
む
)
せて、落すがごとく煙管を
棄
(
す
)
て、湯呑に煎茶をうつしけるが
化銀杏
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
思ひ出
憂
(
うき
)
が
積
(
つも
)
りて
若
(
もし
)
や又
煩
(
わづら
)
ひもせば何とせん思へば
貧
(
まづ
)
しく
生
(
うま
)
れ來て何にも知ぬ我が子に迄
倦
(
あか
)
ぬ別れをさするかやと
男
(
をとこ
)
涙
(
なみだ
)
に
足元
(
あしもと
)
も
踉々
(
しどろ
)
蹌々
(
もどろ
)
に定め
兼
(
かね
)
子故に迷ふ
闇
(
やみ
)
の夜に麹町を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
跡にて人の噂に聞けば、世を捨つるまで己れを慕ひし御邊の誠に感じ、其身も深草の邊に庵を結びて御邊が爲に節を守りしが、乙女心の
憂
(
うき
)
に耐へ得で、秋をも待たず
果敢
(
はか
)
なくなりしとかや。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
尊ぶとこそ云へり今一錢二錢の
袖乞
(
そでごひ
)
しても心
清
(
きよ
)
きが
潔
(
いさぎ
)
よし人間萬事塞翁が馬ぢや
又
(
また
)
好
(
よき
)
春
(
はる
)
に花を
詠
(
なが
)
める時節もあらん
斷念
(
あきらめ
)
よと夫婦互に力を
添
(
そ
)
へ
合
(
あひ
)
憂
(
うき
)
物語
(
ものがた
)
りに時移りしに
頓
(
やが
)
て
塒
(
ねぐら
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
憂
常用漢字
中学
部首:⼼
15画
“憂”を含む語句
憂慮
憂鬱
憂愁
憂鬱症
鬱憂
杞憂
憂欝
憂悶
憂鬱病
憂患
物憂
憂苦
無憂樹
憂思
憂晴
憂世
憂惧
憂事
欝憂
憂欝症
...