息苦いきぐる)” の例文
さうしてその四かくあななかから、すすとかしたやうなどすぐろ空氣くうきが、にはか息苦いきぐるしいけむりになつて濛濛もうもう車内しやないみなぎした。
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
先刻さつきまであをかつたそらも、何時いつとはなし一めん薄曇うすぐもつて、其処そこらがきふ息苦いきぐるしく、頭脳あたまは一さうおしつけられるやうになる。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
どくのあるはりでちくちくされるようないたみを、やわらかなはだかんじたばかりでなく、息苦いきぐるしくなって、しまいにはったもののように、あたまおもくなって
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
今年ことし非常ひじやうあつさだつた。また東京とうきやうらしくない、しめりびた可厭いや蒸暑むしあつさで、息苦いきぐるしくして、られぬばん幾夜いくよつゞいた。おなじくあつかつた。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「ああ、みずみたい。ああ、息苦いきぐるしくなった。」と、道々みちみちうったえましたけれど、みきは、だまっていました。
葉と幹 (新字新仮名) / 小川未明(著)
僕はこう云う対話のうちにだんだん息苦いきぐるしさを感じ出した。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
や、けむりつゝまれたやうに息苦いきぐるしい。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
勇敢ゆうかんなつばめは、軒下のきしたをくぐって、みせのおくまではいりました。はたして、うおたちはせとびきの容器ようきにはいって、息苦いきぐるしそうに、あふあふとあえいでいました。
つばめと魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
にいさん、息苦いきぐるしいなかになったんだね。」と、少年しょうねんは、いいました。
太陽と星の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)