心眼しんがん)” の例文
さても番頭久兵衛は種々事を左右によせ百兩の盜賊は大橋文右衛門に相違さうゐなきむね申し立ると雖も大岡殿は心眼しんがんを以て善惡を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あ……夢かア、おや/\盲人めくらてえものはめうもんだなア、てゐるうちには種々いろ/\のものが見えたが、めたらなにも見えない。……心眼しんがんふお話でございます。
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
人の狼なるは狼の狼なるよりも可惧おそるべく可悪にくむべし篤実とくじつ外面げめんとし、奸慾かんよく内心ないしんとするを狼者おほかみものといひ、よめ悍戻いびる狼老婆おほかみばゝといふ。たくみ狼心らうしんをかくすとも識者しきしや心眼しんがん明鏡めいきやうなり。
見えぬがために、見ようとする、心の異常いじょうなはたらきが、心眼しんがんともいうべき感覚かんかくを全身にするどくいで、右手めてにつかんだ般若丸はんにゃまるを、おのれの背なかにかくしながら
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ただまのあたりに見れば、そこに詩も生き、歌もく。着想を紙に落さぬとも璆鏘きゅうそうおん胸裏きょうりおこる。丹青たんせい画架がかに向って塗抹とまつせんでも五彩ごさい絢爛けんらんおのずから心眼しんがんに映る。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
眼は見えぬながら、心眼しんがんというものを開いて物を見ようと思った。
海底大陸 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「わははは、剣道修業の者ならば、先ず免許皆伝以上の心眼しんがんじゃ。苦手と看破って逃げおったな。いや、よいよい、この境内へ追い込んでおかば、またお目にかかる事もあろうわい。——こりゃ、坊主、坊主」
心眼しんがんはなのしまらくかがやきて
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
人の狼なるは狼の狼なるよりも可惧おそるべく可悪にくむべし篤実とくじつ外面げめんとし、奸慾かんよく内心ないしんとするを狼者おほかみものといひ、よめ悍戻いびる狼老婆おほかみばゝといふ。たくみ狼心らうしんをかくすとも識者しきしや心眼しんがん明鏡めいきやうなり。
まだまだおまえは修行しゅぎょうが足りない。なぜめしいとなったなら、心眼しんがんをひらくくふうをせぬ。ものは目ばかりでみるものではない。心の目をひらけば宇宙うちゅうの果てまで見えてくるよ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しき見分みわけきませんから、心眼しんがん外題げだいを致しましたが、大坂町おほさかちやう梅喜ばいきまう針医はりいがございましたが、療治れうぢはうごく下手へたで、病人にはりを打ちますと、それがためおなかが痛くなつたり
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
たゞされるは表眼へうがんを眠り心眼しんがんを以て是を見る時は其邪正じやせい自然に感ずると云ふ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さてこれは外題げだい心眼しんがんまうす心のといふお話でござりますが、物の色をで見ましても、たゞあかいのでは紅梅こうばい木瓜ぼけの花か薔薇ばら牡丹ぼたんわかりませんが、ハヽア早咲はやぎき牡丹ぼたんであるなと心で受けませんと
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)