こは)” の例文
それでもいけない時は、法來坊が四十八貫の鐵棒を持つて押し出し、大地を叩いてのこは談判だ。大抵の者は顫へ上がつてしまひますよ
湯はぬるかつたが後はポカ/\した。晝飯ひるには鷄を一羽ツブして貰つた。肉は獸のやうにこはかつた。骨は叩きやうが荒くて皆な齒を傷めた。しかし甘かつた。
伊豆の旅 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
自轉車は走り出したが、最初からよろめいてゐて、駿介のハンドルを持つ手は固くこはばつてゐた。
生活の探求 (旧字旧仮名) / 島木健作(著)
「あれ、じやうこはいねえ、さあ、えゝ、ま、せてるくせに。」とむかうへいた、をとこいたしたへ、片袖かたそでかせると、まくれたしろうでを、ひざすがつて、おりうほつ呼吸いき
三尺角拾遺:(木精) (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
其時の心持は後では自分にも分らぬ。※だけは昨日の雨でぬれた儘こはばつて居る。草鞋の代が幾らかと聞いたら此は一足進上するのであるから代は要らぬといふことであつた。
佐渡が島 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
それをいゝ事にしてこはもてにもててゐる下劣なるごろつきを自分は徹頭徹尾憎み度い。
剣もほろゝにこはばつた女武士アマゾンとか、男を嫌つて唇を噛んだものや、云ひ寄られても袖を惹かれても、何処吹く風と空々し気な女の様子に、というてこれまで夢中となつた験しもないのだが
天狗洞食客記 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
おん身の不思議に性命を全うせしは、聖母の御惠なりしならん。今はおん身情こはきも、よも再び拿破里に住みて、ベルナルドオと面をあはせんとは云はぬならん。公子。そは勿論なるべし。
... おれ熊曾建二人、まつろはず、ゐやなしと聞こしめして、おれを取りれと詔りたまひて、遣せり」とのりたまひき。ここにその熊曾建白さく、「信にしからむ。西の方に吾二人をきては、たけこはき人無し。 ...
アメリカ政府が持ち込んだこは談判であつた。
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
「若い者の我儘ぢや。近頃遊びが過ぎるので、ツイこは意見をすると、——それならば、娘のお夏と一日も早く一緒にしてくれ——と申すのぢや」
假令たとひ監視かんしからのがれてをんな接近せつきんしたとしても、んだをんなじやうこはければ蛸壺たこつぼたこだまされるやうにころりとおと工夫くふうのつくまではをとこ忍耐にんたいむし危險きけんとをあわせてしのがねばらぬ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
そこを番頭の孫六に見付かつて、こは意見をされたんだらう——いや煙草二三服といふから、意見をする暇がなかつたかも知れない。兎も角、翁屋が立つか潰れるかといふ千兩の金だ。
「ジヨ、冗談でせう。三度の飯も、こはくなきや食つたやうな氣のしねえあつしだ」
銭形平次捕物控:126 辻斬 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)