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弥次馬
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やじうま
ふりがな文庫
“
弥次馬
(
やじうま
)” の例文
旧字:
彌次馬
女幽霊の現われたところには、かならず器物の破壊がおこり、何か物がぬすまれ、そしてあつまってきた
弥次馬
(
やじうま
)
がけがをするのであった。
四次元漂流
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
箇様に悪口をつき申さば生を
弥次馬
(
やじうま
)
連と同様に見る人もあるべけれど、生の弥次馬連なるか否かは貴兄は御承知の事と存候。
歌よみに与ふる書
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
「なに、もうすぐぶっ倒れちまうに
違
(
ちげ
)
えねえ。もうやがておしめえだよ、皆の衆!」と群衆の中から一人の
弥次馬
(
やじうま
)
が言った。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
見物の
弥次馬
(
やじうま
)
は笑ったが、生徒たちは
真面目
(
まじめ
)
で先生のいう通りに怒鳴った。そうすると泥棒は体をかくしたまま、戸の上から鍋だけさしだした。
旧聞日本橋:04 源泉小学校
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
しかし、山羊は騒々しい
弥次馬
(
やじうま
)
たちに、けろりとした顔をふりむける。そして、澄んだ細い眼でささやきかけるのである。
南方郵信
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
▼ もっと見る
弥次馬
(
やじうま
)
がさけびながら、車といっしょにかけだします。それにつれて犬がほえる。歩いていた群衆がみな立ちどまってしまうというさわぎです。
怪人二十面相
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「迷亭のは聴いているのか、
交
(
ま
)
ぜ返しているのか判然しない。寒月君そんな
弥次馬
(
やじうま
)
に構わず、さっさとやるが好い」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
おまけにこっちは、応援の青年団やら
好奇
(
ものずき
)
な
弥次馬
(
やじうま
)
やらでやたらに人数が多いから、ざわめくばかりでも先はいちはやく物音を聞きつけて逃げてしまう。
チャアリイは何処にいる
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
よろこびをうけて
酬
(
むく
)
いることを知らざるは、人間にあらず馬なり、
弥次馬
(
やじうま
)
なり。さあさあ弥次馬はあとへ引っこんで
金持
(
かねもち
)
だけ前のほうへでてくださいよ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ところが面白いことには、その七、八軒目から、もう老人の後には、用のない
弥次馬
(
やじうま
)
がうんと
従
(
つ
)
いて来て、それらが老人が射的屋へ入るたびに、コソコソと
地図にない街
(新字新仮名)
/
橋本五郎
(著)
パリーは
弥次馬
(
やじうま
)
に初まり、浮浪少年に終わる。この二つは他のいずれの都市にも見られないものである。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「内藤君、そんなに
弥次馬
(
やじうま
)
をつれてきてもだめだ。
一人
(
ひとり
)
と一人でやるんだ。きみ一人こっちへ出たまえ」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
街路や原っぱで死んで、
弥次馬
(
やじうま
)
たちに
死骸
(
しがい
)
をいじくり廻されるのは、何としても、いやだったんです。
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
とうとう避難者や
弥次馬
(
やじうま
)
共の間に
挟
(
はさ
)
まれて、
身動
(
みうごき
)
もならぬようになる。頭の上へは火の子がばらばら落ちて来る。りよは涙ぐんで亀井町の手前から引き返してしまった。
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
夜が
更
(
ふ
)
けるにつれて、
弥次馬
(
やじうま
)
は一人へり二人へって、詰所には当番の四人だけが残った。
遺産
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
とばっちりを食って斬られてはかなわないから、通行人のむれがサッと左右にわかれたせまい無人の境を、
弥次馬
(
やじうま
)
に追われて一散に駈けて来るのを見ると——つづみの与吉である。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
と唄い終ったが、末の摘んで取ろの一句だけにはこちらの少年も声を合わせて
弥次馬
(
やじうま
)
と
出掛
(
でか
)
けたので、歌の主は
吃驚
(
びっくり
)
してこちらを
透
(
す
)
かして
視
(
み
)
たらしく、やがて笑いを帯びた大きな声で
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
アメリカだって
弥次馬
(
やじうま
)
のいない筈はないだろう。尤も日本人でも、火事などちょっと振り向くだけで、電車に乗りこみ帰宅を急ぐ人も多い。私が性来の弥次馬なのである。歴史の本読む。
戯作者文学論:――平野謙へ・手紙に代えて――
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
鎮圧部隊がまだ出動してないころで、
弥次馬
(
やじうま
)
がいっぱい詰めかけていた。巡査の姿は見かけないにもかかわらず、巡査にまるで遮られているかのように、人々はおのずと一線を画していた。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
それに江戸名物の
弥次馬
(
やじうま
)
が面白がってくっついて飛び出す。
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
現場へ飛びだした
弥次馬
(
やじうま
)
たちが、後刻自宅へ引取ってみると、誰の身体も下半分が真青に染っていて、洗っても洗っても取れないというので
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
終に記者と士官とが相談して二、三人ずつの総代を出して船長を責める事になった。自分も気が気でないので寐ても居られぬから
弥次馬
(
やじうま
)
でついて往た。
病
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
なんせ、あなたに自分の身の上話をしたのも、今さら言わずとも知り抜いているそこらの
弥次馬
(
やじうま
)
どもに、おのれの恥がさらしたいためじゃございません。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
「可哀そうに、
無礼打
(
ぶれいうち
)
だ、浪人に何かして斬られるところだ」などと、もう口々にいって、それを見かけたあたりの
弥次馬
(
やじうま
)
が、ワラワラと寄って人垣を作る。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
事件を聞きつけて集った
弥次馬
(
やじうま
)
の大群が、テントのまわりをグルッと遠巻きにして見物しているのだ。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
と叫んで高谷君の足を取ろうとした横田生は細井君になぐりたおされた上に、
弥次馬
(
やじうま
)
の足げに会って、いち早く逃げだした。篠崎生と小川生はこれに気をのまれて手出しがならない。
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
土堤
(
どて
)
を走る
弥次馬
(
やじうま
)
は必ずいろいろの旗を
担
(
かつ
)
ぐ。担がれて懸命に
櫂
(
かい
)
を
操
(
あやつ
)
るものは色に担がれるのである。天下、
天狗
(
てんぐ
)
の鼻より著しきものはない。天狗の鼻は古えより
赫奕
(
かくえき
)
として赤である。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
さすがの
弥次馬
(
やじうま
)
も舌を
振
(
ふる
)
ってしまいました。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そのあとから、真夜中ながら
弥次馬
(
やじうま
)
のおしよせてくる
気配
(
けはい
)
がした。私は弥次馬に追越されたくなかったので、
驀地
(
まっしぐら
)
に駈けだした。今度は大丈夫走れるぞと思った。
西湖の屍人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
彼は黒山の様に群がった
弥次馬
(
やじうま
)
のうしろから、じっと深山木の死体に目を注いでいた。死体を運んでいる時にも、私は絶えずうしろの方にもののけの様な彼の気配を感じていた。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
すわと、
弥次馬
(
やじうま
)
は、
潮
(
うしお
)
のごとくたちさわいだ。——と、その群集のなかから、まじろぎもせずに、朱柄の槍先をみつめていた
白衣
(
びゃくえ
)
の
六部
(
ろくぶ
)
と、ひとりの
貴公子
(
きこうし
)
ふうの少年とがあった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
弥次馬
(
やじうま
)
の中には覚えず逃げ出したものがあった。やはり堀口生は恐れられている。
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
砲手はこれだけで事足るのだが、その周囲附近には
弥次馬
(
やじうま
)
兼援兵が
雲霞
(
うんか
)
のごとく付き添うている。ポカーンと擂粉木が団子に
中
(
あた
)
るや否やわー、ぱちぱちぱちと、わめく、手を
拍
(
う
)
つ、やれやれと云う。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
不意の
椿事
(
ちんじ
)
に驚いて、先を争って帰ったのであろう。僅かに物好きな
弥次馬
(
やじうま
)
が五六人、劇場事務所の人々などが、曲者が屋根裏に逃げ込んだと聞いたのか、舞台の方へ走っている。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
と——蛾次郎も卜斎の
視線
(
しせん
)
にならってその
方角
(
ほうがく
)
へ目をやってみると、
竹矢来
(
たけやらい
)
の一
角
(
かく
)
、そこはいまあらかたの
弥次馬
(
やじうま
)
が
獄門台
(
ごくもんだい
)
と
掲示
(
けいじ
)
の
高札
(
こうさつ
)
を見になだれさったあとで、ほのあかるい
夕闇
(
ゆうやみ
)
に、
点々
(
てんてん
)
と
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ある中年の商人は、夜、東海道線の踏切を通って、無残な女の
轢死体
(
れきしたい
)
を見たが、まだ
弥次馬
(
やじうま
)
が集まって来ない、たった一人の時、妙な洋服男が死体の側をウロウロしているのを見たという。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
いやもうまるでお祭り以上な
弥次馬
(
やじうま
)
騒ぎ。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もう大分
弥次馬
(
やじうま
)
が出ていて、あの古道具屋が休憩所みたいになってしまったのだから、犯人の逃げ出す暇はなかった筈ですが、まさかあの老人達が共犯者で犯人を
匿
(
かくま
)
ったと思えませんからね
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
弥
常用漢字
中学
部首:⼸
8画
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常用漢字
小3
部首:⽋
6画
馬
常用漢字
小2
部首:⾺
10画
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弥次馬連