てん)” の例文
都会とかいのあるくつてんへ、奉公ほうこうにきている信吉しんきちは、まだ半年はんとしとたたないので、なにかにつけて田舎いなかのことがおもされるのです。
風雨の晩の小僧さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
よっぱらいの学生が、むかいのカフェーをでてきたと思うと、またその足で、よろよろと、こちらのきっさてんへはいっていく——というようなことがまいばんで
ラクダイ横町 (新字新仮名) / 岡本良雄(著)
何處どこやらの骨董こっとうてんみせさきで見たることあり此奴こやつの顏を
河馬 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
ぽうには、いままでの金持かねもちが貧乏びんぼうして、着物きものるやら、家宝かほうるというふうで、まちにも、幾軒いくけんか、こっとうてんができたのだよ。新興成金しんこうなりきんあてにね。
太陽と星の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「カフェーや、きっさてんや、いろんなみせがならんでいるだろう。だから、大学だいがくの学生で、この横町よこちょうへあそびにくるくせがついたものは、みんな、らくだいしてしまうのだ。」
ラクダイ横町 (新字新仮名) / 岡本良雄(著)
きっさてんや、カフェーや、マージャンクラブなどがのきなみにならんでいて、少年しょうねんは、その中のオリオンけんというミルクホールにはたらいていた。少年しょうねんの名は、いのきちといった。
ラクダイ横町 (新字新仮名) / 岡本良雄(著)
あたまうえ拡声器かくせいきから、おんなこえが、がなりはじめて、なつものの宣伝せんでんや、駅前えきまえ喫茶店きっさてん開業かいぎょうした広告こうこくや、そのうるさくさえおもったのを、なにまちなん丁目ちょうめのくつてんでは
アパートで聞いた話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あるつつじのかどのところへ、あたらしく美術店びじゅつてんができました。しかし、そこには、あたらしいものより、ふるいもののほうがおおかったから、むしろ、こっとうてんというのかもしれません。
太陽と星の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
なぜなら、あのこっとうてんが、いつのまにかなくなって、つからなかったからです。そのかわり、そこが葬儀屋そうぎやとなって、真新まあたらしいかんおけやしろ蓮華れんげ造花ぞうかなどが、ならべてありました。
太陽と星の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
まだ、ひるまえで、あまり人通ひとどおりのない時分じぶんでした。みちかたがわに一けんものてんがありました。おもてめんした、ガラスのはまったかざまどには、わかおんなひとがきるような、はでな反物たんものがかかっていました。
戦争はぼくをおとなにした (新字新仮名) / 小川未明(著)