たが)” の例文
来会の途で、ちょうど寺院から帰る子供に逢うごとに、ののしられ石をげられた。一夕試みに会処を移したが、時刻をたがえず犬がその家へ来た。
幸ひに西も東も午後一時何分とか時間にたがひ少なきゆゑ共に停車塲ステーシヨンに入り道人は西我は東煙は同じ空になびけど滊車は走る道を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
しかれども事意とたがい容易に志を果たす能わずあえて先の所談を一書として出版するに至る、自らうらみなき能わず。即ち懐を述べて序文に代う。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
局に臨み交〻争ひ、雌雄未だ決せずば、毫釐も以てたがふ可からず。局勢已につかれなば、精を専にして生を求めよ。局勢已に弱くば、意を鋭くして侵しけよ。
囲碁雑考 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
「山東洋、ヨク三承気ヲ運用ス。これヲ傷寒論ニ対検スルニ、馳駆ちく範ニたがハズ。真ニ二千年来ノ一人——」
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
よわいするごとに、ほとんど必ずたがっているのは何故なにゆえであろうか。ちなみにいうが過去帖にもまた齢八十三としてある。そこでわたくしはこの八十三より逆算することにした。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
はかりごといよいよ出でていよいよたがい、あるいは神奈川に返り、あるいは横浜に赴き、あるいは外艦をうて羽根田にいたるも、陸上より艦を眺め、陸上より艦を追うのみにして
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
さては客来きやくらいと言ひしもいつはりにて、あるひは内縁の妻と定れる身の、吾をとがめて邪魔立せんとか、ただし彼人かのひとのこれ見よとてここに引出ひきいだせしかと、今更にたがはざりし父がことばを思ひて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
我獄室の構造も大に世の監獄とはたがへり、先づ我が坐する、否坐せしめらるゝ所といへば、天然の巌石にして、余を囲むには堅固なる鉄塀あり、余を繋ぐには鋼鉄の連鎖あり
我牢獄 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
此推測にしてたがはずば、拿破里はアヌンチヤタが最後の興行とその合※がふきんの禮とを見るならん。夫人。禁軍の將校たるものゝいかでか歌妓をめとるべき。そは家を汚すに當るべければ。われ。
北海の魚の味ひあつきと南海の魚の味ひうすきたがひあるがごとし。
溜り水を瀦というも豕が汚水を好むからだろう。蘇東坡そとうば仏印と飲んで一令を行うを要す。一庭に四物あり、あるいはきよくあるいはきたなく韻をたがうを得ず。
さては狂人なるよと直行も迷惑したれど、このままにてはふとも立去るまじきに、一度ひとたびは会うてとにもかくにもんと、心ならずも戸を開けば、聞きしにたがはぬ老女ろうによ入来いりきたれり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
遠く行く情人の足を蹈みとゞまらすもの、猛く勇む雄士ますらをの心を弱くするもの、情たがよろこび薄らぎたる間柄をめ固うするもの、涙のほかには求めがたし。人世涙あるは原頭に水あるが如し。
山庵雑記 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
あるじ夫婦をあはせて焼亡しようぼうせし鰐淵わにぶちが居宅は、さるほど貫一の手にりてその跡に改築せられぬ、有形ありがたよりは小体こていに、質素を旨としたれどもつぱさきの構造をうつしてたがはざらんとつとめしに似たり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)