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差紙
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さしがみ
ふりがな文庫
“
差紙
(
さしがみ
)” の例文
冥府の役人からこういう
差紙
(
さしがみ
)
を貰って来たのだぞといって、眼のさきへ突き付けたら、先生もおそらく
真物
(
ほんもの
)
だと思って驚くでしょう。
中国怪奇小説集:11 異聞総録・其他(宋)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ちょうど、そこへ会所の使いが福島の役所からの
差紙
(
さしがみ
)
を置いて行った。
馬籠
(
まごめ
)
の
庄屋
(
しょうや
)
あてだ。おまんはそれを渡そうとして、
夫
(
おっと
)
を
探
(
さが
)
した。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
上将軍よりのお
手判
(
てはん
)
お
差紙
(
さしがみ
)
でもを持参ならば格別、さもなくばたとい奉行本人が参ったとて、指一本指さるる主水之介ではない。
旗本退屈男:02 第二話 続旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
螻蟻
(
ろうぎ
)
の一念は天へも
通
(
つう
)
ずとの
俚諺
(
りげん
)
又
宜
(
むべ
)
なるかな大岡殿
此度
(
このたび
)
幸手宿三五郎
妻
(
つま
)
文
(
ふみ
)
の申立を
聽
(
きか
)
れ武州
鴻
(
こう
)
の
巣
(
す
)
鎌倉屋金兵衞方へ
差紙
(
さしがみ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
すると、大岡様は、八寺の坊主へ
差紙
(
さしがみ
)
をつけて、白洲へならべ、朝から夕方まで、調べもせずに待たせたままにしておいた
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
下谷稲荷町の
美濃屋茂二作
(
みのやもじさく
)
と其の女房お
由
(
よし
)
が
媒妁
(
なこうど
)
同様に周旋をしたということを聞出しましたから、早速お
差紙
(
さしがみ
)
をつけて、右の夫婦を呼出して白洲を開かれました。
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
奉書到来と云う儀式で、
夜中
(
やちゅう
)
差紙
(
さしがみ
)
が来たが、
真平
(
まっぴら
)
御免だ、私は病気で
御座
(
ござ
)
ると
云
(
いっ
)
て取合わない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
はたして翌日若年寄から紋太郎へ宛てて
差紙
(
さしがみ
)
が来た。恐る恐る出頭すると特に百石のご加増があり尚その上に役付けられた。西丸詰め御書院番、役高三百俵というのである。
大鵬のゆくえ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「ところが、そうでないんだ。お前さんのことで、今朝方、自身番から
差紙
(
さしがみ
)
が来たんだ」
歌麿懺悔:江戸名人伝
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
十月の十一日に宮内省から御用これあるに付き出頭すべしという
差紙
(
さしがみ
)
が参りました。自分には何んの御用であるか一向当りが附かないが、わるいことではあるまいと思っておりました。
幕末維新懐古談:67 帝室技芸員の事
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
またお
差紙
(
さしがみ
)
かと開いてみると、「お
油御用
(
あぶらごよう
)
精励
(
せいれい
)
でお上も満足、今後とも充分気をつけて勤めますよう?——」言わば
褒状
(
ほうじょう
)
である。大岡様からそっと出たものだ。一計といったのはこれである。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
はがき一枚の
差紙
(
さしがみ
)
が来てものこ/\出かけて行かねばならなかった話。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
雲哲 なるほどさう云へば、お奉行所からの
差紙
(
さしがみ
)
で、大屋さんと彦三郎さんは今朝早くから數寄屋橋へ出て行つたさうだ。
権三と助十
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「外は
風雨
(
しけ
)
だというのに、内では祝言のしたくだ——しかしこのお
差紙
(
さしがみ
)
の様子では、おれも
一肌
(
ひとはだ
)
脱がずばなるまいよ。」
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
呼出
(
よびいだ
)
すべしと
差紙
(
さしがみ
)
に付町役人七助を
召連
(
めしつれ
)
罷出
(
まかりいで
)
ければ大岡殿
何歟
(
なにか
)
思
(
おぼ
)
さるゝ事ありて此日は
吟味
(
ぎんみ
)
もなく
追
(
おつ
)
て
呼出
(
よびいだ
)
すまで七助梅は家主へ
預
(
あづ
)
けると申付られけり
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
罪跡
(
ざいせき
)
といってもすこぶる不明瞭でただ単に「公務怠慢」というだけな
差紙
(
さしがみ
)
なのだ。そこで即時これをまた
滄州
(
そうしゅう
)
の
苦役場
(
くえきば
)
の方へ七年の刑期付きで送りつけた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし、それは普通の場合である。意味ありげな
差紙
(
さしがみ
)
なぞを受けないで済む場合である。今度はそうはいかなかった。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
右
(
みぎ
)
の
文體
(
ぶんてい
)
也ければ
直
(
たゞ
)
ちに麹町三丁目町醫師村井長庵
呼出
(
よびだ
)
しの
差紙
(
さしがみ
)
を札の辻の町役人へ渡されければ
非番
(
ひばん
)
の家主
即時
(
そくじ
)
に麹町の名主の玄關へ持參なし
順序
(
じゆんじよ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
滄州牢城の牢営長は、公文の
差紙
(
さしがみ
)
を見た日すでにこう
呟
(
つぶや
)
いた。そしてなお、じっさいの人間を
白洲
(
しらす
)
で見るにおよび、いちばいその
骨柄
(
こつがら
)
に惚れ込んだ
容子
(
ようす
)
で
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
遠国
(
おんごく
)
同士の約束は甚だ不安のようではあるが、義理の固い才蔵は万一自分に病気その他の差し支えがある場合には、
差紙
(
さしがみ
)
を持たせて必ず代人を
上
(
のぼ
)
せることになっているので
半七捕物帳:17 三河万歳
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「半蔵さま、福島からお
差紙
(
さしがみ
)
(呼び出し状)よなし。ここはどうしても、お前さまに出ていただかんけりゃならん。」
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
一 明朝、寝込みに、或いは都合によって夕刻、すべての証拠がため整い次第に、東儀与力自身、奉行
直筆
(
じきひつ
)
の
差紙
(
さしがみ
)
をふところにして、富武
五百之進
(
いおのしん
)
の屋敷に赴き、塙郁次郎を御用
拉致
(
らち
)
すること
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ようやく道中奉行からの
差紙
(
さしがみ
)
で、三人の庄屋の出頭する日が来た。十一屋の二階で、半蔵は連れと同じように旅の
合羽
(
かっぱ
)
をぬいで、国から用意して来た麻の
𧘕𧘔
(
かみしも
)
に着かえた。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
景蔵は、これから木曾福島をさして出掛けるところだという。聞いて見ると、
地方
(
じかた
)
御役所からの
差紙
(
さしがみ
)
で。中津川本陣としてのこの友人も、やはり半蔵と同じような呼び出され方で。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
差
常用漢字
小4
部首:⼯
10画
紙
常用漢字
小2
部首:⽷
10画
“差”で始まる語句
差支
差
差覗
差向
差出
差俯向
差別
差当
差配
差置