島嶼たうしよ)” の例文
島嶼たうしよ碁布きふしたるは、空に漂ふ雲に似たり。地平線に近きところに、一條の烟立ちのぼれるは、ヱズヰオの山(モンテ、ヱズヰオ)なるべし。
此邊このへん印度洋インドやう眞中たゞなかで、眼界がんかいたつするかぎ島嶼たうしよなどのあらうはづはない、ましてやくぷん間隙かんげきをもつて發射はつしやする火箭くわぜんおよ星火榴彈せいくわりうだん危急存亡きゝふそんぼうぐる難破船なんぱせん夜間信號やかんしんがう
島嶼たうしよの多い長崎港外の海湾、湖水の様な瀬戸内海から荒涼たる紀州半島、凹凸あふとつの甚しい伊豆の岬に至るまで、海から眺望する日本の風景はいかにも青々として、いかにも優しく
海洋の旅 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
夜はいとあかけれど、強く寒き風はたちまち起りぬ。まさに没せんとする日はさかりなる火の如く、天をば黄金色わうごんしよくならしめ、海をば藍碧色らんぺきしよくならしめ、海の上なる群れる島嶼たうしよをば淡青たんせいなる雲にまがはせたり。
ヴエスヴイオ山 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
なくば隱見ゐんけん出沒しゆつぼつ氣長きながわがふねあとうち本船ほんせん何時いつ海水かいすいあさ島嶼たうしよ附近ふきんか、そこ大海礁だいかいせうよこたは波上はじやうにでも差懸さしかかつたときかぜごときたり、くもごとあらはれでゝ
われはヱネチアの既に甚だ近きを覺えしに、今傍人かたへびとに問へば猶一里ありと答ふ。而して此一里の間は、皆瀦留ちよりうせる沼澤せうたくの水のみ。處々には泥土の島嶼たうしよさまをなして頭をあらはせるあり。
艦中かんちう一同いちどうはヒタとなりしづめたのである。たゞ本艦ほんかんこと三海里さんかいり橄欖島かんらんたうおぼしきしま北方ほつぽうあたつて、毒龍どくりようわだかまるがごと二個にこ島嶼たうしよがある。その島陰しまかげから忽然こつぜんとして一點いつてんひかりがピカリツ。
夜はいとあかけれど、強く寒き風は忽ち起りぬ。まさに沒せんとする日はさかりなる火の如く、天をば黄金色ならしめ、海をば藍碧色ならしめ、海の上なる群れる島嶼たうしよをば淡青なる雲にまがはせたり。