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小楊枝
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こようじ
ふりがな文庫
“
小楊枝
(
こようじ
)” の例文
それもただの袋ではない。
小楊枝
(
こようじ
)
でも入れてあったのではないかと思われるような、なまめかしくも赤い
紅絹
(
もみ
)
の切れの袋でした。
右門捕物帖:26 七七の橙
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
早く食事を終えた兄はいつの間にか、自分の
後
(
うしろ
)
へ来て、
小楊枝
(
こようじ
)
を使いながら、
上
(
のぼ
)
ったり
下
(
お
)
りたりする鉄の箱を自分と同じように眺めていた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
小婢
(
こおんな
)
が茶を運んで来た。菓子が無いので、有り合せの
梨
(
なし
)
を
剥
(
む
)
き、数が無いので小さく切って、
小楊枝
(
こようじ
)
を
添
(
そ
)
えて出した。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
旧
(
もと
)
のお茶屋へ還って往くと、酒に
酔
(
え
)
った青柳は、取ちらかった座敷の真中に、
座蒲団
(
ざぶとん
)
を枕にして寝ていたが、おとらも赤い顔をして、
小楊枝
(
こようじ
)
を使っていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
那処
(
あすこ
)
に遠く
些
(
ほん
)
の
小楊枝
(
こようじ
)
ほどの棒が見えませう、あれが旗なので、
浅黄
(
あさぎ
)
に赤い
柳条
(
しま
)
の模様まで
昭然
(
はつきり
)
見えて、さうして
旗竿
(
はたさを
)
の
頭
(
さき
)
に
鳶
(
とび
)
が
宿
(
とま
)
つてゐるが手に取るやう
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
▼ もっと見る
何がなるほどなのか、顎をしゃくったり、眼まぜをしたり、鼻で笑ったりして、
小楊枝
(
こようじ
)
のさきで歯をせせりながら見物していたが、そのうちに、げたげた笑い出した。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と直きその
傍
(
そば
)
に店を出した、
二分心
(
にぶしん
)
の下で
手許
(
てもと
)
暗く、
小楊枝
(
こようじ
)
を削っていた、人柄なだけ、
可憐
(
いとし
)
らしい女隠居が、黒い
頭巾
(
ずきん
)
の中から、隣を振向いて、
掠
(
かす
)
れ掠れ笑って言う。
露肆
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
波瑠子は店へは顔を出さずに、非常口から
裏梯子
(
うらばしご
)
を伝ってみのりを捜しに行ったが、少女が部屋に見えなかったので、
小楊枝
(
こようじ
)
の先で障子に点字を書き残してふたたび店へ戻った。
宝石の序曲
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
小初は食後の
小楊枝
(
こようじ
)
を使いながら父親を
弥次
(
やじ
)
った。自分が人を
揶揄
(
やゆ
)
することを好んで人から揶揄されることを
嫌
(
きら
)
うのは都会的
諷刺家
(
ふうしか
)
の性分で、父親はそれが娘だとぐっと
癪
(
しゃく
)
に
触
(
さわ
)
った。
渾沌未分
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
彼は、
小楊枝
(
こようじ
)
を使いつつ、額の上に皺をよせ、斜に伸子を見上げて答えた。
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
ゴクン、と
不味
(
まず
)
い
唾
(
つば
)
を飲んだ瞬間、その黒いものが、源吉の足の下あたりに触れ、妙に湿り気を含んだ、何んともいえない異様な音……その中には、
小楊枝
(
こようじ
)
を折るような、気味の悪い音も
確
(
たしか
)
にあった。
鉄路
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
その合間には
小楊枝
(
こようじ
)
の先を盃に浸して膳の上に文字を書いた。
鬼涙村
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
お延の
拵
(
こし
)
らえてくれた
縕袍
(
どてら
)
の
襟
(
えり
)
を
手探
(
てさぐ
)
りに探って、
黒八丈
(
くろはちじょう
)
の下から抜き取った
小楊枝
(
こようじ
)
で、しきりに前歯をほじくり始めた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
とニヤリと口を開けた、お
媼
(
ば
)
さんの歯の黄色さ。横に
小楊枝
(
こようじ
)
を使うのが、つぶつぶと入る。
菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
口に
小楊枝
(
こようじ
)
をくわえているところを見ると、さしずめ今朝は、お粂の興行している小屋から朝湯に出かけて、この附近で一本かたむけていたものか、あるいは、この先生のことだから
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
手で
片頬
(
かたほ
)
をおさへて、
打傾
(
うちかたむ
)
いて
小楊枝
(
こようじ
)
をつかひながら、
皿小鉢
(
さらこばち
)
を寄せるお辻を見て
処方秘箋
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
宗助は下眼を使って、手に持った
小楊枝
(
こようじ
)
を着物の
襟
(
えり
)
へ差した。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それからは畳を
歩行
(
ある
)
く
跫音
(
あしおと
)
もしない位、以前の
俤
(
おもかげ
)
の
偲
(
しの
)
ばるる鏡台の
引出
(
ひきだし
)
の隅に残った猿屋の
小楊枝
(
こようじ
)
の
尖
(
さき
)
で字をついて、膝も崩さず母親の前に
畏
(
かしこま
)
って、二年級のおさらいをするのが聞える。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
噛
(
か
)
んでいた
小楊枝
(
こようじ
)
を、そッぽう向いて、フッと地へ吐く。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
飽けば火鉢の
縁
(
へり
)
に
肱
(
ひじ
)
つき、
小楊枝
(
こようじ
)
にて
皓歯
(
しらは
)
をせせりながら
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
小
常用漢字
小1
部首:⼩
3画
楊
漢検準1級
部首:⽊
13画
枝
常用漢字
小5
部首:⽊
8画
“小楊枝”で始まる語句
小楊枝入