“黒八丈”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
くろはちじょう66.7%
くろはち33.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
私は黙って座敷へ帰って、そこに敷いてある布団ふとんの上に横になった。病後の私は季節に不相当な黒八丈くろはちじょうえりのかかった銘仙めいせんのどてらを着ていた。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
お延のこしらえてくれた縕袍どてらえり手探てさぐりに探って、黒八丈くろはちじょうの下から抜き取った小楊枝こようじで、しきりに前歯をほじくり始めた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
無紋の黒八丈くろはちの羽織を着た商人あきゅうど風の老紳士と出会って、軽く挨拶して行去ろうとしたが、老紳士が頭を挙げないのでまた下げると同時に老紳士が頭を挙げ
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
しかも上品に衣紋えもん正しく、黒八丈くろはちの襟を合わせて、色の浅黒い、鼻筋の通った、目に恐ろしく威のある、品のある、眉の秀でた、ただその口許くちもとはお妙にて、嬰児みどりごなつくべく無量の愛の含まるる。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)