天雲あまぐも)” の例文
一〇〇此の秋のわびしきは我が身ひとつぞと思ひつづくるに、一〇一天雲あまぐものよそにも同じなげきありて、ならびたる新壠あらづかあり。
足名椎は彼等夫婦の為に、出雲いづもの須賀へ八広殿やひろどのを建てた。宮は千木ちぎ天雲あまぐもに隠れる程大きな建築であつた。
老いたる素戔嗚尊 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
行方ゆくえも分かぬ、虚空こくう彼方かなたにぎらぎらと放散しているんだ。定かならぬ浮雲のごとくあまはら浮游ふゆうしているんだ。天雲あまぐもの行きのまにまに、ただ飄々ひょうひょうとただよっている……
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
おもはぬに時雨しぐれあめりたれど天雲あまぐもれて月夜つくよさやけし 〔巻十・二二二七〕 作者不詳
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
なまよみの 甲斐の国 打ち寄する 駿河の国と こちごちの 国のみ中ゆ 出で立てる 不尽の高嶺は 天雲あまぐもも い行き憚り 飛ぶ鳥も びものぼらず 燃ゆる火を 雪もて消ち 降る雪を
二、三の山名について (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
天雲あまぐもの青くたなびく大きくがかくいにしへもやはしたまひき
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
愛鷹の真黒き峰にまき立てる天雲あまぐもの奥に富士は籠りつ
村住居の秋 (新字旧仮名) / 若山牧水(著)
つよき翼をひるがへしかの天雲あまぐもを凌ぎけり
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
光明は闌干らんかんとして天雲あまぐものあなたに流れ
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
孔子くじのふみ読みてこもれど天雲あまぐも
婦人と文学 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
たくみもよしや天雲あまぐも
天地有情 (旧字旧仮名) / 土井晩翠(著)
かくれぬかげ天雲あまぐも
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
天雲あまぐもの上をかけるも谷水をわたるもつるのつとめなりけり」——こうみずから歌ったほど、彼の薬を請うものは、かみは一藩の老職から、しもは露命もつなぎ難い乞食こじき非人ひにんにまで及んでいた。
或敵打の話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「父母を見れば尊し、妻子めこ見ればめぐしうつくし、世の中はかくぞ道理ことわり」、「つちならば大王おほきみいます、この照らす日月の下は、天雲あまぐも向伏むかふきはみ谷蟆たにぐくのさ渡る極、きこす国のまほらぞ」
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
雪の富士に現はるる立ち待つと将た寒けかり繁き天雲あまぐも
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
天雲あまぐものへにいほりせる
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
大君おほきみかみにしませば天雲あまぐもいかづちのうへにいほりせるかも 〔巻三・二三五〕 柿本人麿
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
ひさかたの四方よも天雲あまぐも地に垂りて碧々あをあをしかもきぬがさのごと
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
あな天雲あまぐもにともなはれ
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
天雲あまぐものあをくたなびく大きくが
新頌 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
しらずや人の天雲あまぐも
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)