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おびただ
ふりがな文庫
“
夥多
(
おびただ
)” の例文
神職
言語
(
ごんご
)
道断、ただ
事
(
ごと
)
でない、
一方
(
ひとかた
)
ならぬ、
夥多
(
おびただ
)
しい怪異じゃ。したたかな邪気じゃ。何が、おのれ、何が、ほうほう……
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
当時、牙彫の方は全盛期であるから、その工人も実に
夥多
(
おびただ
)
しいもので、彫刻師といえば牙彫をする人たちのことを
指
(
さ
)
していうのであると世間から思われた位。
幕末維新懐古談:47 彫工会の成り立ちについて
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
荒縄を以て手足を
犇
(
ひし
)
々と縛られたまま投込まれたものと覚しく、色は蒼ざめ髪は乱れ、二目と見られぬ無残の体で、入水後已に幾日を経たのであろう、全身腐乱して
其
(
そ
)
の臭気
夥多
(
おびただ
)
しい
河童小僧
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
市場を出た処の、乾物屋と思う軒に、
真紅
(
まっか
)
な蕃椒が
夥多
(
おびただ
)
しい。……新開ながら
老舗
(
しにせ
)
と見える。わかめ、あらめ、ひじきなど、
磯
(
いそ
)
の香も
芬
(
ぷん
)
とした。
古狢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
二のものが取り残されたようなわけで木彫りの
振
(
ふる
)
わないことは
夥多
(
おびただ
)
しいのでありました。
幕末維新懐古談:76 門人を置いたことについて
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
▼ もっと見る
右左に
大
(
おおき
)
な花瓶が
据
(
すわ
)
って、ここらあたり、花屋およそ五七軒は、
囲
(
かこい
)
の穴蔵を払ったかと思われる見事な花が
夥多
(
おびただ
)
しい。
夫人利生記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
まず橋の手入れとして予備
杭
(
ぐい
)
などをやって大丈夫という所で、牛車を通したような訳で、手間の掛かること
夥多
(
おびただ
)
しく、そのため運賃は以前約束した四十円どころでなく、その六、七倍となりました。
幕末維新懐古談:73 栃の木で老猿を彫ったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
渾名を
鮹
(
たこ
)
と云って、ちょんぼりと目の丸い、額に見上げ
皺
(
じわ
)
の
夥多
(
おびただ
)
しい
婦
(
おんな
)
で、主税が玄関に居た頃勤めた
女中
(
おさん
)
どん。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
が、実はこの怪異を
祈伏
(
いのりふ
)
せようと、三山の法力を用い、秘密の
印
(
いん
)
を結んで、いら高の数珠を
揉
(
も
)
めば揉むほど、
夥多
(
おびただ
)
しく一面に生えて、次第に数を増すのである。
木の子説法
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
明治七年七月七日、大雨の降続いたその七日七晩めに、町のもう一つの大河が
可恐
(
おそろし
)
い洪水した。七の数が
累
(
かさ
)
なって、
人死
(
ひとじに
)
も
夥多
(
おびただ
)
しかった。伝説じみるが事実である。
絵本の春
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
逆上
(
のぼせ
)
て
夥多
(
おびただ
)
しく鼻血を出すから、手当をして、今
冷
(
ひや
)
している処だといった。学士がここに来た時には、既にその道を
行
(
ゆ
)
く女に尾行した男というのが明かに分っていた。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
色も空も
一淀
(
ひとよど
)
みする、この
日溜
(
ひだま
)
りの三角畑の上ばかり、雲の瀬に
紅
(
べに
)
の葉が
柵
(
しがら
)
むように、
夥多
(
おびただ
)
しく
赤蜻蛉
(
あかとんぼ
)
が群れていた。——出会ったり、別れたり、
上下
(
うえした
)
にスッと飛んだり。
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
やっぱり綺麗なのは
小鯛
(
こだい
)
である。数は少いが、これも一山ずつにして、どの店にも
夥多
(
おびただ
)
しい。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
勿論、深くはない、が底に
夥多
(
おびただ
)
しく藻が茂って、これに足を
搦
(
から
)
まれて時々旅人が
溺
(
おぼ
)
れるので。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
中にも、こども服のノーテイ少女、モダン仕立ノーテイ少年の、
跋扈跳梁
(
ばっこちょうりょう
)
は
夥多
(
おびただ
)
しい。……
木の子説法
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
卓子
(
テエブル
)
の上で、ざざっと鳴出す。窓から、どんどと流込む。——さてもさても
夥多
(
おびただ
)
しい水らしいが、滝の
勢
(
いきおい
)
もなく、瀬の力があるでもない。落ちても
逆捲
(
さかま
)
かず、走っても
迸
(
ほとばし
)
らぬ。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「あれへ、毒々しい半びらきの
菌
(
きのこ
)
が出た、あれが開いたらばさぞ
夥多
(
おびただ
)
しい事であろう。」
木の子説法
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その手提灯が闇夜に往来をするといった、螢がまた、ここに不思議に
夥多
(
おびただ
)
しい。
遺稿:02 遺稿
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この辺に限らず、何処でも地方は電燈が暗うございますから、顔の前に点いていても、畳の目がやっと見える、それも蚊帳の天井に光っておればまだしも、この
燈
(
ひ
)
に羽虫の
集
(
たか
)
る事
夥多
(
おびただ
)
しい。
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ものの色もすべて
褪
(
あ
)
せて、その灰色に
鼠
(
ねずみ
)
をさした湿地も、草も、樹も、一部落を
蔽包
(
おおいつつ
)
んだ
夥多
(
おびただ
)
しい材木も、材木の中を見え透く
溜池
(
ためいけ
)
の水の色も、
一切
(
いっさい
)
、
喪服
(
もふく
)
を
着
(
つ
)
けたようで、
果敢
(
はか
)
なく
哀
(
あわれ
)
である。
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
朝三
(
チョウサン
)
ノ食
秋風
(
シュウフウ
)
ニ
饜
(
ア
)
クとは申せども、この椎の実とやがて栗は、その椎の木も、栗の木も、背戸の奥深く
真暗
(
まっくら
)
な
大藪
(
おおやぶ
)
の多数の
蛇
(
くちなわ
)
と、南瓜畑の
夥多
(
おびただ
)
しい
蝦蟇
(
がま
)
と、相戦う
衝
(
しょう
)
に当る、地境の悪所にあって
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この方は手形さえあれば、曲りなりにも関所が通られると思うと、五
度
(
たび
)
に一度、それさえ半年の間なんだ、……小遣を
貯
(
た
)
めるんだからね。……また芸者の身になって見りゃ、迷惑な事は
夥多
(
おびただ
)
しい。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
稲も、
畠
(
はた
)
も、
夥多
(
おびただ
)
しい洪水のあとである。
栃の実
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
が、拍子抜けのした事は
夥多
(
おびただ
)
しい。
妖術
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
夥多
(
おびただ
)
しい
群団
(
むれ
)
をなす。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“夥多”の意味
《名詞》
非常に多いこと。夥しいこと。
(出典:Wiktionary)
夥
漢検1級
部首:⼣
14画
多
常用漢字
小2
部首:⼣
6画
“夥多”で始まる語句
夥多敷