夜氣やき)” の例文
新字:夜気
晩餐ばんさんをはると踊子をどりこさそ太鼓たいこおとやうやしづけた夜氣やきさわがしてきこはじめた。のきつた蚊柱かばしらくづれてやが座敷ざしきおそうた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
二人はウ※トクロスからの動搖れ通しの長い馬車に、筋ばつてゐた、寒い夜氣やきに冷えきつてゐた。しかし二人の樂しげな面差は、明るい火に照らされて、輝かしさを増した。
秋らしくみ返つた夜氣やきのややはださむいほどに感じられた靜かな夜の十二時近く、そして
処女作の思い出 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
わたし婦人ふじん婦人ふじんとのあひだひろつて、そつ大道だいだう夜氣やきあたまひやさうとした。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
永遠の夜氣やきはその相間あひまにしんとした闇をたどり
太陽の子 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
ゆきこそふれはまだそれほどに御座ござりませねばとかへ支度じたくとゝのへるにそれならばたれともにおつれなされお歩行ひろひ御迷惑ごめいわくながら此邊このほとりにはくるま鳥渡ちよつとむづかしからん大通おほどほちかくまで御難澁ごなんじふなるべし家内うちにてすら火桶ひをけすこしもはなされぬに夜氣やきあたつておかぜめすな失禮しつれいなにもなしこゝよりすぐにお頭巾づきんれぞお肩掛かたかけまをせと總掛そうがゝりに支度したく手傳てつだ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
兩側にはヒースが高く茂つてゐるので、夜氣やきが迫るには狹い場所のみが殘つてゐた。私はショオルを二重に畳んで、掛蒲團の代りに被ぶせた。低く土が盛り上つて苔蒸した處を枕にあてた。
ひんやりした夜氣やききふからだにぞくぞくかんじられてた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)