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はとば
ふりがな文庫
“
埠頭
(
はとば
)” の例文
ぽつり、ぽつり、ぽつりと、奉迎門の明るい電光飾に、三人の
褞袍着
(
どてらぎ
)
の姿が
埠頭
(
はとば
)
の広場に現れる。中の一人は
白髪
(
はくはつ
)
に
白髭
(
しらひげ
)
である。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
そして自分が
不在
(
るす
)
の間に、日本の土地が
護謨毬
(
ごむまり
)
で造り更へられでもしたかのやうに、注意ぶかい、歩きぶりをして、港の
埠頭
(
はとば
)
に下りてゐた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
必
(
かなら
)
ず
朝夕
(
てうせき
)
の
餘暇
(
よか
)
には、
二階
(
にかい
)
の
窓
(
まど
)
より、
家外
(
かぐわい
)
の
小丘
(
せうきう
)
より、また
海濱
(
かいひん
)
の
埠頭
(
はとば
)
より、
籠手
(
こて
)
を
翳
(
かざ
)
して
遙
(
はる
)
かなる
海上
(
かいじやう
)
を
觀望
(
くわんぼう
)
せられん
事
(
こと
)
を。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
暑いと言つては休み、眠らなければならないと言つては碇泊し、荷の
積替
(
つみかへ
)
をすると言つては、岸の小さい
埠頭
(
はとば
)
に綱を
繋
(
つな
)
いだ。
朝
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
朝の
中
(
うち
)
長崎についた船はその日の夕方近くに
纜
(
ともづな
)
を解き、次の日の
午後
(
ひるすぎ
)
には
呉淞
(
ウースン
)
の河口に入り、暫く
蘆荻
(
ろてき
)
の間に潮待ちをした後、
徐
(
おもむろ
)
に上海の
埠頭
(
はとば
)
に着いた。
十九の秋
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
余は
腰
(
こし
)
かけを離れて同行の
姉妹
(
しまい
)
に
指
(
ゆびさ
)
した。時計を見れば、最早二時過ぎて居る。唐崎の松を遠見で
済
(
す
)
まして、三井寺を下り、
埠頭
(
はとば
)
から石山行の小蒸汽に乗った。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
聞くともなき話耳に入りて武男はいささか不快の念を動かしつつ、次第に
埠頭
(
はとば
)
の
方
(
かた
)
に近づきたり。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
人足共の
蟻
(
あり
)
の行列の末は
埠頭
(
はとば
)
に
繋
(
つな
)
いである大きな汽船の中へと流れ込んでゐる。……
新らしき祖先
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
蛇の冠についている宝玉を持って
埠頭
(
はとば
)
へと、静かに川から現れたでしょうに、そうなると、プラタプは詰らない釣などは止めてしまい、水の世界へ泳ぎ入って、銀の御殿の黄金作りの寝台の上に
唖娘スバー
(新字新仮名)
/
ラビンドラナート・タゴール
(著)
現実の神戸の
埠頭
(
はとば
)
通りを歩いてゐる姿であつた。
灰色の眼の女
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
横浜の
埠頭
(
はとば
)
から
青い眼の人形
(新字新仮名)
/
野口雨情
(著)
夫人が博士の洋行を見送りに神戸の
埠頭
(
はとば
)
に
往
(
ゆ
)
くと、博士は自分の切符の外に、神戸から横浜までの切符を一枚持ち添へてゐた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
『
矢張
(
やはり
)
靜
(
しづ
)
かな
所
(
ところ
)
が
宜
(
よ
)
う
厶
(
ござ
)
いますねえ。』と
春枝夫人
(
はるえふじん
)
は
此時
(
このとき
)
淋
(
さび
)
しき
笑
(
えみ
)
を
浮
(
うか
)
べて、
日出雄少年
(
ひでをせうねん
)
と
共
(
とも
)
にずつと
船端
(
せんたん
)
へ
行
(
い
)
つて、
鐵欄
(
てすり
)
に
凭
(
もた
)
れて
遙
(
はる
)
かなる
埠頭
(
はとば
)
の
方
(
はう
)
を
眺
(
なが
)
めつゝ
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
東京から毎日来る小蒸気は、其頃ペンキ塗の船体を
処々
(
ところどころ
)
の
埠頭
(
はとば
)
の夕暮の中に白くくつきりと見せて居た。
朝
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
千々岩の
死骸
(
しがい
)
に会えるその日、武男はひとり遅れて
埠頭
(
はとば
)
の
方
(
かた
)
に帰り居たり。日暮れぬ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
会社の構内にあった父の社宅は、
埠頭
(
はとば
)
から二、三町とは離れていないので、
鞭
(
むち
)
の音をきくかと思うと、すぐさま石塀に沿うて鉄の門に入り、
仏蘭西
(
フランス
)
風の灰色した石造りの家の階段に
駐
(
とま
)
った。
十九の秋
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
瀬田
(
せた
)
の長橋を
潜
(
くぐ
)
り、石山の
埠頭
(
はとば
)
に着いた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
イヤ
其樣
(
そん
)
な
無※
(
ばか
)
な
事
(
こと
)
もあるまいが、子ープルスの
埠頭
(
はとば
)
で、
亞尼
(
アンニー
)
が
泣
(
な
)
いて
語
(
かた
)
つた
事
(
こと
)
は、
不思議
(
ふしぎ
)
にも
的中
(
てきちう
)
した。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「この暑い盛りに君一人を残しとくのは全く気の毒さ。だが、
私
(
わし
)
が船に乗込んで
埠頭
(
はとば
)
を離れる時、どんな
好
(
い
)
い気持で居るか、そんな事は思はんやうにしなくつちやならんぞ。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
朝、人々が眼を覚した時には、船はある小さな
埠頭
(
はとば
)
に留つて居た。朝霧の晴れ間から、青い
蚊帳
(
かや
)
を吊つた岸の二階屋の
一間
(
ひとま
)
が見えたり、女が水に臨んで物を洗つて居るのが眺められたりした。
朝
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
きつぱり跳ねつけるやうに
強
(
きつ
)
く手をふつたが、それでもこの船がこの儘天国の港に船がかりするのだつたら、老人は皆を
押退
(
おしの
)
けて、誰よりも先に
埠頭
(
はとば
)
の土を踏んだに相違なかつた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
“埠頭”の意味
《名詞》
埠頭(ふとう)
港湾内に突き出た構築物で、船舶をつけて旅客の乗降や貨物の積み降ろしを行う所。
(出典:Wiktionary)
“埠頭”の解説
埠頭(ふとう, Wharf)は、港湾施設のうち係留施設、荷さばき施設、臨港道路、上屋、倉庫など陸上の設備を含めた港湾施設の総体。「埠」が常用漢字に入っていない字であるため、ふ頭と表記されることも多い。
(出典:Wikipedia)
埠
漢検準1級
部首:⼟
11画
頭
常用漢字
小2
部首:⾴
16画
“埠頭”で始まる語句
埠頭場
埠頭場主
埠頭事務所