いなゝ)” の例文
さんとして馬いなゝかず、この間の花は、磧撫子かはらなでしこ蛍袋ほたるぶくろ擬宝珠ぎぼうし、姫百合、欵苳ふき、唐松草等にして、木は百中の九十まで松属まつぞくの物たり。
霧の不二、月の不二 (新字旧仮名) / 小島烏水(著)
到底とてつかれやうでは、さかのぼるわけにはくまいとおもつたが、ふと前途ゆくてに、ヒイヽンとうまいなゝくのがこだましてきこえた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
(我国に牛のみつかふ所もあり)雪きゆるの時にいたれば馬もよくしりてしきりにいなゝみちにいでんとする心あり
こすりながら浴室ふろに至れば門前に待ち詫びたる馬の高くいなゝくにいよ/\慌て朝餉あさげの膳に向へば昨日きのふ鯉の濃汁こくしやう
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
創造的勢力は未だ其のつるを張つてを交ふに至らず、かへつて過去の勢力と、外来の勢力とが、勢を較して、陣前馬しきりにいなゝくの声を聞く、戦士の意気甚だ昂揚して
国民と思想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
妓夫は怒るし、仕末に困つて、何うしようと思つて居ると、裏の馬小屋で、主人が居ないので、三日間食はずに、腹をへらして居つた、栗毛の三歳が、物音を聞き付けて、一声高くいなゝいた。
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
賢い馬は顔を見返していなゝいた。ワシリは、さすりながらかう云つた。「よしよし。待つてゐろ。今に外して遣る。あした又働いてくれなくてはならないぞ。あしたは韃靼だつたんの馬と駈競かけくらをするのだ。」
馬は馬頭観世音なりはろばろにいなゝき来たれば悲しきものを
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
まきいなゝ黒駒くろごま
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
颱風と共にいなゝく。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
いなゝく駒の声迷ふ
都喜姫 (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
いなゝこゑ落日らくじつ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
すさまじくいなゝいて前足まへあし両方りやうはう中空なかぞらひるがへしたから、ちひさ親仁おやぢ仰向あふむけにひツくりかへつた、づどんどう、月夜つきよ砂煙すなけぶり𤏋ぱツつ。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
(我国に牛のみつかふ所もあり)雪きゆるの時にいたれば馬もよくしりてしきりにいなゝみちにいでんとする心あり
やがて、ホテルは寂然しんとして、とほくでうまいなゝくのがきこえる。まどそと赤蜻蛉あかとんぼ
人参 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
胡場こば北風ほくふういなゝき、越鳥ゑつてう南枝なんしくふ、故郷こきやうわすれがたきは世界の人情にんじやう也。
前刻さツきうまいなゝいたのは此家こゝよりほかにはないとおもつたからつた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ところへ、たちまち、門外もんぐわい、から/\とくるまおと、ヒヽンとうまいなゝこゑ
人参 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)