喋々てふ/\)” の例文
今茲に喋々てふ/\する事殊に無益むえきべんたれど前にもすでのべたるが如く此小西屋の裁判は忠相ぬし最初さいしよさばきにして是より漸次しだいに其名を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
懺悔や告白はひそかに自分の神の前に於てのみ神妙に為すべき事であつて、人前で、殊に孫四郎如き者の前で軽々しく喋々てふ/\すべき事柄ではない。
二人を対手あひて喋々てふ/\喃々なん/\するだ廿六七なる怜悧れいりの相、眉目の間に浮動する青年は同胞新聞の記者の一人吾妻俊郎あづまとしらうなり
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
吾れは是故に審美論を喋々てふ/\して、後進を率ゐんとする者を目して詩道の李斯、王安石となす。
詩人論 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
アントニーとクレオパトラとの恋物語は今更茲に喋々てふ/\するまでもなからう。
毒と迷信 (新字旧仮名) / 小酒井不木(著)
きやくさまはお二階にかいなりといふともなはるゝ梯子はしご一段いちだんまた一段いちだん浮世うきよきといふことらでのぼくだりせしこともありし其時そのとき酌取しやくとをんなまへはなれず喋々てふ/\しく欵待もてなしたるがをんなもしらば彌々いよ/\面目めんぼくなきかぎりなり其頃そのころ朋友ともいまあそびにんはぢやうものなにぞのは
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
甚しきに至つては、いたづらに知らぬ事を喋々てふ/\し一知半解識者をして嘔吐おうとを催さしむる者あり。然れども田口君の論文に至ては毫末も斯の如きの病なし。彼は事理を見るに明かなり。
明治文学史 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
長家はもとより四邊あたりへも吹聽ふいちやうなせば其邊へはつうはさの立行て或は之れをうらやむあり或は之をねたむもありて衆口しうこう喋々てふ/\當分たうぶんはお光の事のみ云あへるをみゝに入たる家主の庄兵衞にはかに安からず思うて一人心を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
忘る蓬莱ほうらい仙境せんきやうも斯るにぎはひはよも非じと云ふべき景況ありさまなれば萬八樓よりそれたる一同は大門内おほもんうち山口巴やまぐちともゑと云引手茶屋へをどこめば是は皆々樣御そろひで能うこそおいであられしぞ先々二階へいらつしやいと家内の者共喋々てふ/\しき世事の中にも親切しんせつらしく其所そこ其所こゝよと妓樓まがき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)