名医めいい)” の例文
旧字:名醫
左右さゆうにすわっている人々ひとびとのようすをきくと、いずれも彼女かのじょおな病気びょうきであるらしいので、いまさら、その名医めいいということがかんぜられたのでありました。
世の中のこと (新字新仮名) / 小川未明(著)
お医者さんはそこいらじゅうの評判になって、名医めいいともてはやされ、お金も思う存分ぞんぶんとりこみました。
使を以て小栗に申出ずるよう江戸に浅田宗伯あさだそうはくという名医めいいありと聞く、ぜひその診察をいたしとの請求に、此方このほうにては仏公使が浅田の診察しんさつうは日本の名誉めいよなりとの考にて
「夫が、このとおり、空襲で頭部あたまに負傷いたしまして、なかなかくならないんですの。早く名医めいいの手にかけないと、悪くなるという話ですから、これからロンドンへ急行するんです」
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そうしてそれからうちあたたか閑静かんせい書斎しょさいかえって……名医めいいかかって頭痛ずつう療治りょうじでもしてらったら、ひさしいあいだわたくしはもうこの人間にんげんらしい生活せいかつをしないが、それにしてもここはじつにいやなところだ。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
それがしの顔色がんしよくすくなからず憂鬱いううつになつたとえて、博士はかせが、かたかるけるやうにして、「大丈夫だいぢやうぶですよ、ついてますよ。」熟々つら/\あんずれば、狂言きやうげんではあるまいし、如何いか名医めいいといつても
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
名医めいい
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この病気びょうきは、どんな名医めいいにかかってもなおらない。ただ一つこの病気びょうきのなおるくすりがある。それは、めったにられるものでないが、金色こんじきうおべるとなおってしまう。
金の魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
はじめにアンドレイ、エヒミチは熱心ねっしんにそのしょくはげみ、毎日まいにちあさからばんまで、診察しんさつをしたり、手術しゅじゅつをしたり、ときには産婆さんばをもしたのである、婦人等ふじんらみなかれ非常ひじょうめて名医めいいである、こと小児科しょうにか
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ほどなくして、うつくしいきさき病気びょうきとなられました。おうさまは、くにじゅうの名医めいいをおびになって、なおそうとなされたけれど、命数めいすうだけは、人間にんげんちからでどうすることもできなかったのです。
ひすいを愛された妃 (新字新仮名) / 小川未明(著)