別業べつげふ)” の例文
車は情なくして走り、一たいの緑を成せるブレンタの側を過ぎ、垂楊の列と美しき別業べつげふとを見、又遠山のまゆずみの如きを望みて、夕暮にパヅアに着きぬ。
以來いらい百家ひやくかしよんで、哲學てつがくしうする、ととなへて、別業べつげふ居續ゐつゞけして、まどぢて、かきひらいた。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
季子すゑのこ作之治なるものが一〇生長ひととなりかたくななるをうれひて、京の人見するとて、一一一月あまり二条の別業べつげふとどまりて、三月やよひすゑ一二吉野の奥の花を見て、知れる寺院に七日ばかりかたらひ、此のついでに
此處こゝ往時むかし北越ほくゑつ名代なだい健兒けんじ佐々さつさ成政なりまさ別業べつげふ舊跡あとにして、いまのこれる築山つきやま小富士こふじびぬ。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
橄欖オリワの林に隱顯せる富人の別業べつげふの邊よりははるかに高く、二塔の巓を摩する古城よりは又逈に低く、一叢ひとむらの雲は山腹に棚引きたり。われ。彼雲の中にみて、大海のしほ漲落みちひを觀ばや。夫人。さなり。
一體いつたい若旦那わかだんなは、やしき河下三里かはしもさんりばかりのところに、ながれのぞんだ別業べつげふがあるのを、元來ぐわんらいいろこのめる男子をとこ婦人ふじん張氏ちやうし美而びにしてなりとふので、浮氣うはきをする隱場處かくればしよにして、別業べつげふ
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そゞろにしみて、はるゆふべことばちぎりは、朧月夜おぼろづきよいろつて、しか桃色もゝいろながれしろがねさをさして、おかうちやんが、自分じぶん小船こぶねあやつつて、つきのみどりのがくれに、若旦那わかだんな別業べつげふかよつて
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)