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初秋
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しょしゅう
ふりがな文庫
“
初秋
(
しょしゅう
)” の例文
その代り、私は忘れられぬほど
音色
(
ねいろ
)
の深い上野の鐘を聴いた事があった。日中はまだ残暑の去りやらぬ
初秋
(
しょしゅう
)
の夕暮であった。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ここはもう
初秋
(
しょしゅう
)
にはいっています。僕はけさ目を
醒
(
さ
)
ました時、僕の部屋の
障子
(
しょうじ
)
の上に小さいY山や松林の
逆
(
さか
)
さまに映っているのを見つけました。
手紙
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
兄妹
(
きょうだい
)
は、
縁側
(
えんがわ
)
に
出
(
で
)
て、
音
(
おと
)
もなくぬか
星
(
ぼし
)
の
光
(
ひか
)
っている、やがて
初秋
(
しょしゅう
)
に
近
(
ちか
)
づいた
夜
(
よる
)
の
空
(
そら
)
を
見
(
み
)
ていましたが
銀河の下の町
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
隈取
(
くまど
)
りでもしたように
眼
(
め
)
の
皮
(
かわ
)
をたるませた
春重
(
はるしげ
)
の、
上気
(
じょうき
)
した
頬
(
ほほ
)
のあたりに、
蝿
(
はえ
)
が一
匹
(
ぴき
)
ぽつんととまって、
初秋
(
しょしゅう
)
の
陽
(
ひ
)
が、
路地
(
ろじ
)
の
瓦
(
かわら
)
から、くすぐったい
顔
(
かお
)
をのぞかせていた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
東叡山
(
とうえいざん
)
寛永寺
(
かんえいじ
)
の
山裾
(
やますそ
)
に、
周囲
(
しゅうい
)
一
里
(
り
)
の
池
(
いけ
)
を
見
(
み
)
ることは、
開府以来
(
かいふいらい
)
江戸
(
えど
)
っ
子
(
こ
)
がもつ
誇
(
ほこ
)
りの一つであったが、わけても
雁
(
かり
)
の
訪
(
おとず
)
れを
待
(
ま
)
つまでの、
蓮
(
はす
)
の
花
(
はな
)
が
池面
(
いけおも
)
に
浮
(
う
)
き
出
(
で
)
た
初秋
(
しょしゅう
)
の
風情
(
ふぜい
)
は
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
▼ もっと見る
正二
(
しょうじ
)
くんの
打
(
う
)
ちふる
細
(
ほそ
)
い
竹
(
たけ
)
の
棒
(
ぼう
)
は、
青
(
あお
)
い
初秋
(
しょしゅう
)
の
空
(
そら
)
の
下
(
した
)
で、しなしなと
光
(
ひか
)
って
見
(
み
)
えました。
野菊の花
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
と見る
間
(
ま
)
もなく
初秋
(
しょしゅう
)
の
黄昏
(
たそがれ
)
は幕の
下
(
おり
)
るように早く夜に変った。流れる水がいやに
眩
(
まぶ
)
しくきらきら光り出して、
渡船
(
わたしぶね
)
に乗っている人の形をくっきりと
墨絵
(
すみえ
)
のように黒く染め出した。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
彼
(
かれ
)
は、しだいにふけていく、
初秋
(
しょしゅう
)
の
夜
(
よる
)
の
空
(
そら
)
を
仰
(
あお
)
ぎました。
金色
(
きんいろ
)
に、
緑色
(
みどりいろ
)
に、うすく
紅
(
くれない
)
に、
無数
(
むすう
)
の
星
(
ほし
)
が
輝
(
かがや
)
いています。おそらく、どの一つにも
烈々
(
れつれつ
)
として、
炎
(
ほのお
)
が
燃
(
も
)
え
上
(
あ
)
がっているにちがいない。
少女と老兵士
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
“初秋”の意味
《名詞》
初 秋(しょしゅう はつあき)
秋の初めの頃。立秋過ぎあたりから9月中旬あたりまでを指すことが多いが、晩夏の時期とも重複する事も多い。はつあき。
陰暦七月。
(出典:Wiktionary)
初
常用漢字
小4
部首:⼑
7画
秋
常用漢字
小2
部首:⽲
9画
“初”で始まる語句
初
初心
初々
初手
初夏
初春
初陣
初午
初旬
初更