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しょしゅう
兄妹は、
縁側に
出て、
音もなくぬか
星の
光っている、やがて
初秋に
近づいた
夜の
空を
見ていましたが
隈取りでもしたように
眼の
皮をたるませた
春重の、
上気した
頬のあたりに、
蝿が一
匹ぽつんととまって、
初秋の
陽が、
路地の
瓦から、くすぐったい
顔をのぞかせていた。
元来、水仙は
海辺地方の植物であって、山地に
生える草ではない。
房州〔千葉県の南部〕、
相州〔神奈川県の一部〕、その他
諸州の海辺地には、それが
天然生のようになって
生えている。