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わし
ふりがな文庫
“
儂
(
わし
)” の例文
「おう、よかろとも!
儂
(
わし
)
でよかったらお役に立てさせてもらおう。そんなことで皆さんの御便宜が得られるならお易い御用じゃ!」
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
あの婆め!そんなぼり方ってあるもんか。——
儂
(
わし
)
は出張して来たばかりで、
手許
(
てもと
)
に少し余計にあったもんだから、拾円でいいというのを
街底の熔鉱炉
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
旦那、そういわないで見ておくんなさい。
儂
(
わし
)
は生れつき
胡魔化
(
ごまか
)
すのが嫌いでネ、なるべくこうしてお手隙の午前中に伺って、品物を
軍用鼠
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
儂
(
わし
)
が何かやまいで気分が悪しく、胸内が苦しいような時でも、あの子が眼の前にあらわれると、おのずとその苦しさが止むのじゃ。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
ですが、
儂
(
わし
)
にはそう申すよりも、むしろそういう高貴な壁で
繞
(
めぐ
)
らされた、牢獄と云った方が
適
(
ふさ
)
わしいような感じがしますのじゃ。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
▼ もっと見る
「拝観なら、
儂
(
わし
)
でええ、今、葬式で誰もいなさらん。そこの右の方から入って見なさい。柵の中へさえ入らんけりゃどこでも見なすってええ」
長崎の印象:(この一篇をN氏、A氏におくる)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
今日
(
こんにち
)
、一同に改めて話すことがある。ほかでもないが
儂
(
わし
)
も老年に及んで、一、二年このかたとかく体の工合が思わしくない。
半化け又平
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
心
(
しん
)
をとめるものは心をとめ、肥料のやり時、中耕の
加減
(
かげん
)
も、兎やら角やら先生なしにやって行ける。毎年
儂
(
わし
)
は
蔬菜
(
そさい
)
花卉
(
かき
)
の
種
(
たね
)
を
何円
(
なんえん
)
と云う程買う。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「ええ。風変りでいらっしゃいました。……そして、なんでも『これは
儂
(
わし
)
の趣味じゃ』と
被仰
(
おっしゃ
)
るのが口癖でございました」
死の快走船
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
「うむ。それがいいでしょう。実をいうと例の疑獄の方で
儂
(
わし
)
も忙しくて、これにかかり切る訳にも行かんでのう……ところでアタリは附きましたかな……」
巡査辞職
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
かつ
儂
(
わし
)
は汝がために、
摩利支天
(
まりしてん
)
に必勝の祈願を修法しているほどに心措きなく怨敵に立ち向え
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
先
(
せん
)
の旦那がなくなられますと、すぐ手紙が
参
(
めえ
)
りまして、
儂
(
わし
)
はなくなった人の甥っ子だが、別荘さ譲り受ける事になったゞから、
前々
(
めえ/\
)
通り管理していてくんろっていって来ましたゞ。
青服の男
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
旦那衆は女遊びに馴れてゐるから
儂
(
わし
)
ら土百姓と違つて女を喜ばせる手管も巧いしよ
狼園
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
「わっはッは! やりおる! やりおる! こりゃ
儂
(
わし
)
は出んでもええらしいテ」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
私も仕方なく苦笑しながら、
儂
(
わし
)
もこれから真面目にやって、鉄道のお婿さんになろうと思っているのさ、と云ってやると、さすがの親爺もあきれたと見え、なるほどね、と云うきりであった。
指導物語:或る国鉄機関士の述懐
(新字新仮名)
/
上田広
(著)
ところで、
儂
(
わし
)
は残念なことに、儂の星のあかりを忘れてしまった……
二十歳のエチュード
(新字新仮名)
/
原口統三
(著)
「
儂
(
わし
)
はこれから出掛けて行くが、あとはよろしく頼む」
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
「うん、分っているよ、敬二君。こいつは用心をして扱わないと、飛んだことになるのだ。まあ
儂
(
わし
)
のすることを見ているがよい」
○○獣
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「何と云われる。
儂
(
わし
)
の口からとは?」真斎は驚き呆れるよりも、瞬間変転した相手の
口吻
(
こうふん
)
に、嘲弄されたような憤りを現わした。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「要らざるお
切匙
(
せっかい
)
だ!
儂
(
わし
)
が娘に言いつけることに君は何の権利があって
嘴
(
くちばし
)
をいれる! 黙って見ておればそれでよろしい」
令嬢エミーラの日記
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
竹取翁 (独白)……
儂
(
わし
)
の美しい娘……儂のなよたけ……(不意に面を上げると、しげしげと文麻呂を眺め、異様な熱情で)
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
「汚名だと思うか、兵馬。……事情はおまえが知っている、
儂
(
わし
)
も知っている、恐らくおまえの妹も知っているであろうが」
柿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
儂
(
わし
)
の
村住居
(
むらずまい
)
も、満六年になった。
暦
(
こよみ
)
の
齢
(
とし
)
は四十五、鏡を見ると
頭髪
(
かみ
)
や満面の熊毛に白いのがふえたには
今更
(
いまさら
)
の様に驚く。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「五円? じゃ、
儂
(
わし
)
が渡した半分も、おまえの手には渡ってやしないんだね。——本当に五円だけなんだねえ?」
街底の熔鉱炉
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
『何?
儂
(
わし
)
の耳のことで来た? そうならなぜ真先にそう云わん。さ、もっと近く来い、寒くはないか……』
地は饒なり
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
そして又、桁網でこんな貝をこんなに沢山拾い集めてなにをしようと云うのだろう?……ね、いくら深谷氏だって、まさか『これも
儂
(
わし
)
の趣味じゃ』なんて云えまいて……
死の快走船
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
「はつきりしない嫌疑であの男を転任させるのは
儂
(
わし
)
は好まない。左傾する者はどこへ行つても左傾する。そして一人の校長先生が迷惑する。一人の校長先生がな。同じことではないか」
麓
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
「なんで、
儂
(
わし
)
にも取次がずに、そんな無礼を振舞ったか」と、賈詡をなじった。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
儂
(
わし
)
だ。約束だ、開けてくれ。」
釘抜藤吉捕物覚書:05 お茶漬音頭
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「それが、貴方にあるたった一つの障害なのじゃ。歪んだ空想のために、常軌を逸しとるのです。
儂
(
わし
)
は
虚妄
(
うそ
)
の
烽火
(
のろし
)
には驚かんて」
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「うん、まあ見ていたまえ。
儂
(
わし
)
の胸にはちゃんと生擒りの手が考えてある」蟹寺博士は、大いに自信のある顔つきであった。
○○獣
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「そうだ、
儂
(
わし
)
の一族から殺人犯を出さずに済んだ事も有難い、おまえの探偵癖が、こんなに役に立つとは思わなかったぞ」
天狗岩の殺人魔
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
……
儂
(
わし
)
は決してあれを非難しようなどと思っておらん。……ただ、父親としてそれを知っておいた方がいいと思うのだ。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
「併し、
儂
(
わし
)
は、何処までも続ける。厭なら君は止めるがいい。誰が何んと云おうと儂は医術のために続けるから」
三稜鏡:(笠松博士の奇怪な外科手術)
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
東京に出ては
儂
(
わし
)
も立派な田舎者だが、田舎ではこれでもまだ中々ハイカラだ。儂の生活状態も大分変った。君が初めて来た頃の
彼
(
あの
)
あばら家とは
雲泥
(
うんでい
)
の相違だ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「一体こういうことが、世の中にあり得ることか、あり得ぬことか……どうも
儂
(
わし
)
には腑に落ちんよ!」
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
だが、
儂
(
わし
)
は切ないからね、可哀そうで切ないから、儂の生きている間はそういうことのないようにしておくれ。もう僅かだよ、二三年の辛抱だよ。よくそう云った。
獄中への手紙:05 一九三八年(昭和十三年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「
一廉
(
ひとかど
)
の武士に育て上げて遣わすが、
儂
(
わし
)
の
膝下
(
しっか
)
で修行を積んで見る気はないか」
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いや
熊鷹
(
くまたか
)
じゃろう。あれは意地むさいでな。だがなあ喜惣、この片身はどうあっても、お前にはやれんぞ。あれは、第一
儂
(
わし
)
の
穽
(
あな
)
なんじゃ」
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「ああ帆村はん。これ、なんちゅうことや。
儂
(
わし
)
はもう、あんまり愕いたもんやで、頭脳が
冬瓜
(
とうがん
)
のように、ぼけてしもたがな」
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「祐吉、おまえもっと
確
(
しっか
)
りせんと駄目だぞ、そんなにのらくらしていると
儂
(
わし
)
が死んでも遺産を分けてやらんから」
天狗岩の殺人魔
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
儂
(
わし
)
は、自分のやっていることを、決していいことだとは思っていないが、決して悪いことだとも思ってはいない。
街底の熔鉱炉
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
「エミーラ、誰でも
儂
(
わし
)
の研究の邪魔をした奴は、儂の敵だということは知っているであろうな!」
令嬢エミーラの日記
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「
儂
(
わし
)
は断ったよ。——あれはよくない。儂は来た男に、はっきり断った。いいだろう?」
海流
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「早馬で長浜へ急ぎ、
儂
(
わし
)
の老母と妻子に会って、貨財などには目もくれず、ただ身をのみ船へ移して、湖を漕ぎ渡り、柴田殿の陣所へと落してくれい。——頼むぞ。一刻も争うぞ、早く行け」
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ああ大江山君、
悦
(
よろこ
)
んでいいよ。
儂
(
わし
)
たちはまた夕刊新聞に書きたてられて一段と有名になるよ。
全
(
まった
)
く君の
怠慢
(
たいまん
)
のお陰だ」
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
うむ、緑の髪を持った女——さっき渚から
這
(
は
)
い上がったとき、たしかに
儂
(
わし
)
は、
貝殻
(
かいがら
)
のような小さい足を見たはずだぞ。
紅毛傾城
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「貴様は幸運な奴じゃな、今宵は
儂
(
わし
)
の祖先の百回忌で、女三人、男五人を
生贄
(
いけにえ
)
に祭る日じゃ、貴様が男では五人め——最後の贄になるのじゃ、名誉であろうが」
其角と山賊と殿様
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
儂
(
わし
)
から用事を言い付けられたということにしておいて、今夜一晩は自由に外泊して来てよろしい。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「着物なんぞはそのままで結構なんだからおいで。——行けば何かしら行っただけのことはあるものだ。それに
儂
(
わし
)
のいるうちできるだけ人も知って置かないと、いざという時一人で困るよ」
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
儂
漢検1級
部首:⼈
15画
“儂”を含む語句
教儂不沾裙
儂等
儂智高
儂達
儂風情