わし)” の例文
「おう、よかろとも! わしでよかったらお役に立てさせてもらおう。そんなことで皆さんの御便宜が得られるならお易い御用じゃ!」
ナリン殿下への回想 (新字新仮名) / 橘外男(著)
あの婆め!そんなぼり方ってあるもんか。——わしは出張して来たばかりで、手許てもとに少し余計にあったもんだから、拾円でいいというのを
街底の熔鉱炉 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
旦那、そういわないで見ておくんなさい。わしは生れつき胡魔化ごまかすのが嫌いでネ、なるべくこうしてお手隙の午前中に伺って、品物を
軍用鼠 (新字新仮名) / 海野十三(著)
わしが何かやまいで気分が悪しく、胸内が苦しいような時でも、あの子が眼の前にあらわれると、おのずとその苦しさが止むのじゃ。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
ですが、わしにはそう申すよりも、むしろそういう高貴な壁でめぐらされた、牢獄と云った方がふさわしいような感じがしますのじゃ。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「拝観なら、わしでええ、今、葬式で誰もいなさらん。そこの右の方から入って見なさい。柵の中へさえ入らんけりゃどこでも見なすってええ」
今日こんにち、一同に改めて話すことがある。ほかでもないがわしも老年に及んで、一、二年このかたとかく体の工合が思わしくない。
半化け又平 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
しんをとめるものは心をとめ、肥料のやり時、中耕の加減かげんも、兎やら角やら先生なしにやって行ける。毎年わし蔬菜そさい花卉かきたね何円なんえんと云う程買う。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「ええ。風変りでいらっしゃいました。……そして、なんでも『これはわしの趣味じゃ』と被仰おっしゃるのが口癖でございました」
死の快走船 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
「うむ。それがいいでしょう。実をいうと例の疑獄の方でわしも忙しくて、これにかかり切る訳にも行かんでのう……ところでアタリは附きましたかな……」
巡査辞職 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
かつわしは汝がために、摩利支天まりしてんに必勝の祈願を修法しているほどに心措きなく怨敵に立ち向え
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
せんの旦那がなくなられますと、すぐ手紙がめえりまして、わしはなくなった人の甥っ子だが、別荘さ譲り受ける事になったゞから、前々めえ/\通り管理していてくんろっていって来ましたゞ。
青服の男 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
旦那衆は女遊びに馴れてゐるからわしら土百姓と違つて女を喜ばせる手管も巧いしよ
狼園 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
「わっはッは! やりおる! やりおる! こりゃわしは出んでもええらしいテ」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
私も仕方なく苦笑しながら、わしもこれから真面目にやって、鉄道のお婿さんになろうと思っているのさ、と云ってやると、さすがの親爺もあきれたと見え、なるほどね、と云うきりであった。
ところで、わしは残念なことに、儂の星のあかりを忘れてしまった……
二十歳のエチュード (新字新仮名) / 原口統三(著)
わしはこれから出掛けて行くが、あとはよろしく頼む」
壊滅の序曲 (新字新仮名) / 原民喜(著)
「うん、分っているよ、敬二君。こいつは用心をして扱わないと、飛んだことになるのだ。まあわしのすることを見ているがよい」
○○獣 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「何と云われる。わしの口からとは?」真斎は驚き呆れるよりも、瞬間変転した相手の口吻こうふんに、嘲弄されたような憤りを現わした。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「要らざるお切匙せっかいだ! わしが娘に言いつけることに君は何の権利があってくちばしをいれる! 黙って見ておればそれでよろしい」
令嬢エミーラの日記 (新字新仮名) / 橘外男(著)
竹取翁 (独白)……わしの美しい娘……儂のなよたけ……(不意に面を上げると、しげしげと文麻呂を眺め、異様な熱情で)
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
「汚名だと思うか、兵馬。……事情はおまえが知っている、わしも知っている、恐らくおまえの妹も知っているであろうが」
(新字新仮名) / 山本周五郎(著)
わし村住居むらずまいも、満六年になった。こよみとしは四十五、鏡を見ると頭髪かみや満面の熊毛に白いのがふえたには今更いまさらの様に驚く。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「五円? じゃ、わしが渡した半分も、おまえの手には渡ってやしないんだね。——本当に五円だけなんだねえ?」
街底の熔鉱炉 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
『何? わしの耳のことで来た? そうならなぜ真先にそう云わん。さ、もっと近く来い、寒くはないか……』
地は饒なり (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
そして又、桁網でこんな貝をこんなに沢山拾い集めてなにをしようと云うのだろう?……ね、いくら深谷氏だって、まさか『これもわしの趣味じゃ』なんて云えまいて……
死の快走船 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
「はつきりしない嫌疑であの男を転任させるのはわしは好まない。左傾する者はどこへ行つても左傾する。そして一人の校長先生が迷惑する。一人の校長先生がな。同じことではないか」
(新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
「なんで、わしにも取次がずに、そんな無礼を振舞ったか」と、賈詡をなじった。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わしだ。約束だ、開けてくれ。」
「それが、貴方にあるたった一つの障害なのじゃ。歪んだ空想のために、常軌を逸しとるのです。わし虚妄うそ烽火のろしには驚かんて」
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「うん、まあ見ていたまえ。わしの胸にはちゃんと生擒りの手が考えてある」蟹寺博士は、大いに自信のある顔つきであった。
○○獣 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「そうだ、わしの一族から殺人犯を出さずに済んだ事も有難い、おまえの探偵癖が、こんなに役に立つとは思わなかったぞ」
天狗岩の殺人魔 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
……わしは決してあれを非難しようなどと思っておらん。……ただ、父親としてそれを知っておいた方がいいと思うのだ。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
「併し、わしは、何処までも続ける。厭なら君は止めるがいい。誰が何んと云おうと儂は医術のために続けるから」
東京に出てはわしも立派な田舎者だが、田舎ではこれでもまだ中々ハイカラだ。儂の生活状態も大分変った。君が初めて来た頃のあのあばら家とは雲泥うんでいの相違だ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「一体こういうことが、世の中にあり得ることか、あり得ぬことか……どうもわしには腑に落ちんよ!」
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
だが、わしは切ないからね、可哀そうで切ないから、儂の生きている間はそういうことのないようにしておくれ。もう僅かだよ、二三年の辛抱だよ。よくそう云った。
一廉ひとかどの武士に育て上げて遣わすが、わし膝下しっかで修行を積んで見る気はないか」
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いや熊鷹くまたかじゃろう。あれは意地むさいでな。だがなあ喜惣、この片身はどうあっても、お前にはやれんぞ。あれは、第一わしあななんじゃ」
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「ああ帆村はん。これ、なんちゅうことや。わしはもう、あんまり愕いたもんやで、頭脳が冬瓜とうがんのように、ぼけてしもたがな」
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「祐吉、おまえもっとしっかりせんと駄目だぞ、そんなにのらくらしているとわしが死んでも遺産を分けてやらんから」
天狗岩の殺人魔 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
わしは、自分のやっていることを、決していいことだとは思っていないが、決して悪いことだとも思ってはいない。
街底の熔鉱炉 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
「エミーラ、誰でもわしの研究の邪魔をした奴は、儂の敵だということは知っているであろうな!」
令嬢エミーラの日記 (新字新仮名) / 橘外男(著)
わしは断ったよ。——あれはよくない。儂は来た男に、はっきり断った。いいだろう?」
海流 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
「早馬で長浜へ急ぎ、わしの老母と妻子に会って、貨財などには目もくれず、ただ身をのみ船へ移して、湖を漕ぎ渡り、柴田殿の陣所へと落してくれい。——頼むぞ。一刻も争うぞ、早く行け」
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ああ大江山君、よろこんでいいよ。わしたちはまた夕刊新聞に書きたてられて一段と有名になるよ。まったく君の怠慢たいまんのお陰だ」
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
うむ、緑の髪を持った女——さっき渚からい上がったとき、たしかにわしは、貝殻かいがらのような小さい足を見たはずだぞ。
紅毛傾城 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「貴様は幸運な奴じゃな、今宵はわしの祖先の百回忌で、女三人、男五人を生贄いけにえに祭る日じゃ、貴様が男では五人め——最後の贄になるのじゃ、名誉であろうが」
其角と山賊と殿様 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
わしから用事を言い付けられたということにしておいて、今夜一晩は自由に外泊して来てよろしい。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
「着物なんぞはそのままで結構なんだからおいで。——行けば何かしら行っただけのことはあるものだ。それにわしのいるうちできるだけ人も知って置かないと、いざという時一人で困るよ」
伸子 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)