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上松
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あげまつ
ふりがな文庫
“
上松
(
あげまつ
)” の例文
諸方の城郭も、今は無用の長物として
崩
(
くず
)
されるまっ最中だ。
上松
(
あげまつ
)
宿の原畑役所なぞが取り払われたのは、早くも明治元年のことである。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
寝覚
(
ねざめ
)
では、宿場茶屋の端をかりて、早目な昼めしを喰べたので、事なく済んだが、やがて一峠越えて、
上松
(
あげまつ
)
のあたりへかかると
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
でも、
上松
(
あげまつ
)
を過ぎる頃から、急に雪のいきほひが衰へだし、どうかするとぱあつと薄日のやうなものが車内にもさしこんでくるやうになつた。
辛夷の花
(新字旧仮名)
/
堀辰雄
(著)
この、筆者の友、
境賛吉
(
さかいさんきち
)
は、実は
蔦
(
つた
)
かずら
木曾
(
きそ
)
の
桟橋
(
かけはし
)
、
寝覚
(
ねざめ
)
の
床
(
とこ
)
などを見物のつもりで、
上松
(
あげまつ
)
までの切符を持っていた。霜月の半ばであった。
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
福島の城下を出外ずれて
上松
(
あげまつ
)
の
畔
(
ほとり
)
へ来た時に夜はほのぼのと明け
初
(
そ
)
めた。須原の宿へ来た時には陽が中空に指し上ぼった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
上松
(
あげまつ
)
驛は木曾山中福島に次ぐの
都邑
(
といふ
)
にして、其の繁華は中津川以西
未
(
いま
)
だ曾て見ざるところ、街區また甚だ整頓せり。
秋の岐蘇路
(旧字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
、
上松
(
あげまつ
)
の茶屋へ奉公に出しまして、それで、この福島で馬を買いましたが、奉公とはいえ、十七になる娘に身売りを
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
上松
(
あげまつ
)
を過ぐれば程もなく
寝覚
(
ねざめ
)
の里なり。寺に到りて案内を乞へば小僧絶壁のきりきはに立ち遙かの下を指してこゝは浦嶋太郎が竜宮より帰りて後に釣を垂れし跡なり。
かけはしの記
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
未だ日も高いし、駒ヶ岳へ登るには
上松
(
あげまつ
)
に泊る方が便利なので、川沿いの道を南に下って行く。
木曽駒と甲斐駒
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
そのすこし前、私は木曽の
上松
(
あげまつ
)
小学校の校歌をつくったが、そこの徽章が駒草であった。わたしは写真だけでみて駒草のことを歌ったが、実物を見るのはこのときがはじめてである。
八※[#小書き片仮名ガ]岳登山記
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
知たかぶり岩があつて
溪
(
たに
)
があつて蕎麥が名物是非一日遊ばうぞやと痛む足を引ずりて
上松
(
あげまつ
)
も過ぎしが
頓
(
やが
)
て右手の
草原
(
くさはら
)
の細道に
寐覺
(
ねざめ
)
の
床
(
とこ
)
浦嶋の舊跡と記せし
杭
(
くひ
)
あるを見付けガサゴソと草の細道を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
桟道の旧跡を経て新茶屋といふに到る。屋後に行きて初て
厠籌
(
しちう
)
を見たり。竹箆にはあらず。広一寸弱長四五寸の片木なり。二里半
上松
(
あげまつ
)
駅にいたる。
臨川
(
りんせん
)
寺は駅路
蕎麦店間
(
けうばくてんかん
)
より二丁
許
(
きよ
)
の坂を下りている。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
上松
(
あげまつ
)
を過ぎ、
三留野
(
みどの
)
まで帰って来た。行く先に謹慎を命ぜられていた庄屋問屋のあることは、今度の改革の容易でないことを語っている。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
でも、
上松
(
あげまつ
)
を過ぎる頃から、急に雪のいきおいが衰えだし、どうかするとぱあっと薄日のようなものが車内にもさしこんでくるようになった。
大和路・信濃路
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
鳰鳥はちょっと思案したが、
上松
(
あげまつ
)
の方へ足を向けた。木曽街道は今も昔も道幅の狭いので有名であったが、今夜に限ってその道は人の波で充ち充ちていた。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
上松
(
あげまつ
)
からも寝覚からも登れるように書いてあったので、上松から登る予定を変更して、寝覚の床を見物し、翌日駒へ登ったのでありますが、其図に頂上に池があって玉池と書いてある。
登山談義
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
それがあとの
贄川
(
にえがわ
)
だか、峠を越した先の
藪原
(
やぶはら
)
、福島、
上松
(
あげまつ
)
のあたりだか、よくは
訊
(
き
)
かなかったけれども、その
芸妓
(
げいしゃ
)
が、客と一所に、鶫あみを掛けに木曾へ行ったという話をしたんです。
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
下物
(
さかな
)
に飮むほどに
空腹
(
すきばら
)
ではあり
大醉
(
おほよひ
)
となり是から一里や二里何の譯はない足が痛ければ轉げても行く
此
(
こゝ
)
さへ此の絶景だものかねて音に聞き繪で惚れて居る
寐覺
(
ねざめ
)
の
臨川寺
(
りんせんじ
)
はどんなで有らう足が痛んで
行倒
(
ゆきだふれ
)
になるとも此の勝地に
葬
(
はうぶ
)
られゝば本望だ出かけやう/\と酒が
云
(
いは
)
する
付元氣
(
つけげんき
)
上松
(
あげまつ
)
から車を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
深い森林の方から伐り出した
松明
(
たいまつ
)
を路傍に山と積んだようなところもある。
上松
(
あげまつ
)
御陣屋の監督はもとより、近く尾州の御材木方も出張して来ると聞く。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「ハイ
妾
(
わたくし
)
は城外
上松
(
あげまつ
)
、
寝覚
(
ねざめ
)
の床の
畔
(
ほとり
)
の者、名は六と申します」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
一石栃
(
いちこくとち
)
にある
白木
(
しらき
)
の番所から、
上松
(
あげまつ
)
の陣屋の辺へかけて、諸役人の目の光らない日は一日もないことを知っていた。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
尾州方
(
びしゅうかた
)
の役人は美濃路から急いで来る。
上松
(
あげまつ
)
の庄屋は中津川へ行く。
早駕籠
(
はやかご
)
で、夜中に馬籠へ着くものすらある。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
前年の冬には宿駅救助として
宮
(
みや
)
の
越
(
こし
)
、
上松
(
あげまつ
)
、馬籠の三宿へ六百両ずつを二か年度の割に貸し渡し、その年の正月には木曾谷中へ五千両をお下げ金として分配した。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
今度二度目の嘆願がこれまでにしたくの整ったというのも、
上松
(
あげまつ
)
から奥筋の方を受け持った五平の奔走の力によることが多かった。それもいわれのないことではない。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
何方
(
いずかた
)
に一戦が始まるとしても近ごろは
穀留
(
こくど
)
めになる憂いがある。中には一か年食い継ぐほどの
貯
(
たくわ
)
えのある村もあろうが、
上松
(
あげまつ
)
から上の宿々では飢餓しなければならない。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
木曾十一宿はおおよそ三つに分けられて、
馬籠
(
まごめ
)
、
妻籠
(
つまご
)
、
三留野
(
みどの
)
、
野尻
(
のじり
)
を
下
(
しも
)
四宿といい、
須原
(
すはら
)
、
上松
(
あげまつ
)
、
福島
(
ふくしま
)
を
中
(
なか
)
三宿といい、
宮
(
みや
)
の
越
(
こし
)
、
藪原
(
やぶはら
)
、
奈良井
(
ならい
)
、
贄川
(
にえがわ
)
を
上
(
かみ
)
四宿という。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
それから追い追いと木曾川の
畔
(
ほとり
)
に近づき、藪原と
宮
(
みや
)
の
越
(
こし
)
駅の間でその岸に移り、徳音寺村に出、さらに岸に沿うて木曾福島、
上松
(
あげまつ
)
、
須原
(
すはら
)
、
野尻
(
のじり
)
、および
三留野
(
みどの
)
駅を通り
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
行く先に残った花やさわやかな若葉に来る雨は彼の
頬
(
ほお
)
にも耳にも来たが、彼はそれを意にも留めずに、季節がら吹き降りの中をすたすた
上松
(
あげまつ
)
まで歩いた。さらに
野尻
(
のじり
)
まで歩いた。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
上
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
松
常用漢字
小4
部首:⽊
8画
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