一服いつぷく)” の例文
ましたかほで、長煙管ながぎせる一服いつぷくスツとときかぜつて、ざツざツと雨風あめかぜつた。うちではない、戸外おもてである、暴模樣あれもやうしのつく大雨おほあめ。……
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
持上偖々昨夜より大熱だいねつにて頭痛甚しく夜通し苦しみたりまことに/\病氣の時のかなしさは獨身者は藥一服いつぷくせんじて呉る人もなく實以てこまり候而て其札の辻よりの御差紙とは何等なんらの御用筋にやと空嘯そらうそぶいて申けるにぞ家主は氣の毒さうに扨々さて/\病中と云とんだ難儀なんぎの事なり又聞のはなしなればしかとは
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
といひかけてわらことばなにとしらねどおほどこしとはお情深なさけぶかことさぞかし可哀かあいさうのも御座ございませうとおもふことあればさつしもふか花子はなこ煙草たばこきらひときゝしがかたはら煙管きせるとりあげて一服いつぷくあわたゞしくおしやりつそれはもうさま/″\ツイ二日計前ふつかばかりまへのこと極貧ごくひん裏屋うらやもの難産なんざんくるしみましてあに手術しゆじゆつ母子ふたりとも安全あんぜんでは
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わたしはバタ/\とびおりた。「ちよつとておくれ、げくさいよ。」家内かない血相けつさうしてけあがつた。「漏電ろうでんぢやないから。」——一日いちにち地震ぢしん以來いらい、たばこ一服いつぷくのない二階にかいである。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一服いつぷく。」
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)