“はんけち”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ハンケチ
語句割合
手巾55.3%
半巾15.8%
手帛10.5%
手布5.3%
半帕2.6%
帉帨2.6%
紛帨2.6%
半拭2.6%
汗巾2.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「藤井は疑の外に居るよ、連弾し乍ら相手を撃つのは六づかしいし、それに、手袋や手巾はんけちなどを用意し乍ら、ピアノは弾けない」
音波の殺人 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
さうして日中の暑熱あつさに何も彼もぢつと息を凝らしてる樣な暑苦しさと靜さが、その赤くなつた疊の隅々に影を潜めてゐた。みのるは半巾はんけちで顏を抑へながら、せつせと扇子を使つてゐた。
木乃伊の口紅 (旧字旧仮名) / 田村俊子(著)
照子がその手帛はんけち命令いひつけ通り方々へ配つたか、それともこつそり箪笥たんすの中にしまつてゐるかは私の知つた事ではないが、親切な大隈侯は先日こなひだ養子の信常氏が九州へ往つた帰途かへりにも
回転しながら落着いた態度で、ポケツトから手布はんけちを出して汗を拭く者もあれば、威勢よく上着を脱いで傍らの椅子に投げ棄てる者もあつた。
明るく・暗く (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
そのが、ひとけて廊下らうか茶室ちやしつらしい其処そことほされたとき、すぐ子爵夫人ししやくふじんの、束髪そくはつかゞや金剛石ダイヤモンドとゝもに、しろ牡丹ぼたんごと半帕はんけちの、おほふて俯向うつむいてるのをた。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
爾時そのときは、まぶたはなして、はらりと口元くちもと半帕はんけちおほうてた、某子爵夫人ぼうしゝやくふじんうなづくやうにき/\、きよらかな半帕はんけちしごくにつれて、真白まつしろきぬの、それにもかげすやうにえた。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
お定は膝の上に握つてゐた新しい帉帨はんけちを取るより早く、少し伸び上つてそれを振つた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
路で逢ふ人には、何日いつになく忸々なれ/\しく此方こつちから優しい聲を懸けた。作右衛門店にも寄つて、お八重は帉帨はんけちを二枚買つて、一枚はお定に呉れた。何處ともない笑聲、子供の泣く聲もする。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
静子は小妹いもうと共と一緒に田の中の畔路あぜみちに立つて、紛帨はんけちを振つてゐる。小妹共は何か叫んでるらしいが、無論それは聞えない。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
『ヤア志郎さん、今迄昼寝ですか?』と吉野が紛帨はんけちに手を拭き乍ら言ふ。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
折柄警部は次のにて食事中なりしかば其終りて出来いできたるを待ち突如だしぬけに「長官大変です」荻沢は半拭はんけちにて髭のよごれを
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
そして、朝になるのを待ちかねていた世高は、白綾の汗巾はんけちへ墨を濃くして七言絶句を書いた。
断橋奇聞 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)