“ハンケチ”のいろいろな漢字の書き方と例文
ひらがな:はんけち
語句割合
手巾59.6%
手帛12.1%
半巾6.4%
帕子4.3%
手帕3.5%
半帕3.5%
半布2.8%
手布2.8%
手拭1.4%
紛帨0.7%
帉帨0.7%
絹巾0.7%
帕布0.7%
毛巾0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
手巾ハンケチが落ちました、)と知らせたそうでありますが、くだん土器殿かわらけどのも、えさ振舞ふるまう気で、いきな後姿を見送っていたものと見えますよ。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
家庭以外の空気に触れたため、初々ういういしい羞恥はにかみが、手帛ハンケチに振りかけた香水ののように自然と抜けてしまったのではなかろうかと疑ぐった。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
憲作はサックに入れた指環を一度あらためて、サックの上から新しい半巾ハンケチで包んでうやうやしく徳市に渡した。
黒白ストーリー (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
お雪はその紙に包んだ女持の帕子ハンケチを眺めながら、「汽車がおくれて、大分停車場で待ちましたよ——三十分の余も」
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
あたかも、舞台を下りてきた俳優と、贔屓ひいきの女客のごとき観がある。汗にぬれた手帕ハンケチを、巧雲は、さもいとしそうに、それで自分の唇をつつむ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あの、ざぶざぶ、冷水で、この半帕ハンケチを絞って下さいませんか。御無心ですが。私ね、実は、その町の曲角で、飛んだ気味の悪い事がありましてね。」
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
聲は高くすれば聞えるくらゐの遠さだつたが、向うの看護婦とこつちの武井さんが時にはわざとらしく半布ハンケチを振つて、相圖をし合つて、無聊を慰めるやうな笑ひを洩らし合つたりするのであつた。
病院の窓 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
しずくするまでもないが、しっとりとする帽子を脱いで、額を手布ハンケチで、ぐい、とぬぐった。
妖術 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いや、いや、濱風、むかひ風、手拭ハンケチなんぞは飛んでしまふ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
紛帨ハンケチを出して額の汗を拭き乍ら、衣嚢かくしの銀時計を見ると、四時幾分と聞いた発車時刻にモウ間がない。急いで盛岡行の赤切符を買つて改札口へ出ると
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
その静子は又、自分とアノ人が端なくも滊車に乗合せて盛岡に行く時、田圃に出て紛帨ハンケチを振つた。静子の底の底の心が、何故か自分に解つた様な気がする。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
お定は膝の上に握つてゐた新しい帉帨ハンケチを取るより早く、少し伸び上つてそれを振つた。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
路で逢ふ人には、何日いつになく忸々なれなれしく此方から優しい声を懸けた。作右衛門店にも寄つて、お八重は帉帨ハンケチを二枚買つて、一枚はお定に呉れた。何処ともない笑声、子供の泣く声もする。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
彼は奇麗きれいに光る禿顱とくろを燈下に垂れて、ツル/\とで上げ撫で下ろせり、花吉は絹巾ハンケチ失笑をかしさを包みて、と篠田を見つ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
軽く首肯うなづきたる梅子も、絹巾ハンケチに眼をおほひぬ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
座敷の床の間へ寄せ、北を枕にして、蓮太郎の死体の上には旅行用の茶色の膝懸ひざかけをかけ、顔は白い帕布ハンケチおほふてあつた。亭主の計らひと見えて、其前に小机を置き、土器かはらけたぐひも新しいのが載せてある。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
主税もその扱にすれば、お嬢さんも晴がましく、顔の色とおなじような、毛巾ハンケチ便たよりにして、姿と一緒にひらひらと動かすと、畳に陽炎かげろうが燃えるようなり。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)