紛帨ハンケチ)” の例文
紛帨ハンケチを出して額の汗を拭き乍ら、衣嚢かくしの銀時計を見ると、四時幾分と聞いた発車時刻にモウ間がない。急いで盛岡行の赤切符を買つて改札口へ出ると
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
その静子は又、自分とアノ人が端なくも滊車に乗合せて盛岡に行く時、田圃に出て紛帨ハンケチを振つた。静子の底の底の心が、何故か自分に解つた様な気がする。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
富江が不平を言出して、三人にあらためて付けようと騒いだが、それは信吾がなだめた。そして富江は遂に消さなかつた。森川は上衣の鈕をかけて、乾いた紛帨ハンケチで顔を拭いた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)