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たふげ
我国頸城郡米山の
麓に
医王山米山寺は和同年中の
創草なり。山のいたゞきに薬師堂あり、山中女人を
禁ず。此米山の腰を米山
嶺とて越後北海の
駅路なり、此
辺古跡多し。
我は
宿へ
皈り足にて
遙に
行過たる
頃例の
雪頽の
音をきゝて、これかならずかの山ならんと
嶺を
无事に
通りしをよろこびしにつけ、こゝのあるじはふもとを
无難に
行過給ひしや
「いゝなあ、この
山毛欅一
本が、こゝで
湖を
支へる
柱だ。」そこへ
画架を
立てた——その
時、この
峠を
導いて、
羽織袴で、
阪へ
掛かると
股立を
取つた
観湖楼、
和井内ホテルの
御主人が
中津川は美濃の國なり
國境は
馬籠と落合の間の十
石峠といふ所なり國かはれば風俗も異なりて木曾道中
淳朴の
風は木曾川の流と共にはなれてやゝ淫猥の臭氣あり
言語も岐阜と名古屋
半交となり
姿形も見よげになれり氣候も山を
駕籠を一
挺、
駕籠屋が四
人、
峠の
茶屋で
休んだのが、てく/\と
帰つて
来た。
三
角先生に
宜しく、と
挨拶して、ひとり
煢然として
峠を
下る
後態の、
湖は
広大、
山毛欅は
高し、
遠見の
魯智深に
似たのが、
且軍敗れて、
鎧を
棄て、
雑兵に
紛れて
落ちて
行く
宗任のあはれがあつた。