-
トップ
>
-
たうげ
父さんの
生れた
田舍は
美濃の
方へ
降りようとする
峠の
上にありましたから、お
家のお
座敷からでもお
隣の
國が
山の
向ふの
方に
見えました。
峠を
下ると『
多田御社道』の
石標が
麥畑の
畦に
立つて、
其處を
曲れば、
路はまた
山川の
美しい
水に
石崖の
裾を
洗はれてゐた。
川に
附いて
路はまた
曲つた。
この地方では、たいてい六七年目に
手向(羽黒)から
巫女が来て着せるのだという。