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げつきう
お
袋などが
口廣い
事は
言へど
亥之が
昨今の
月給に
有ついたも
必竟は
原田さんの
口入れではなからうか
されども
是れぞの
跡もなく、
唯うか/\と
物おもふらしく
或時はしみ/″\と
泣いて、お
前樣いつまで
是れだけの
月給取つてお
出遊ばすお
心ぞ、お
向ふ
邸の
旦那さまは
墓へ
這入るまで八
圓の
月給では
有るまいと
思ひますに、
其邊格別の
御心配なくと
見事に
言へば、
母親はまだらに
殘る
黒き
齒を
出して、
成るほど/\
宜く
立派に
聞えました
私の
手足が
働かぬ
時に
成りて
何分のお
世話をお
頼み
申さねば
成らぬ
曉、
月給八
圓で
何う
成らう、
夫れを
思ふと
今のうち
覺悟を
極めて、
少しは
互ひに
愁らき
事なりとも
當分夫婦別れして
ひそかに
思ふ。
湖の
全景は、
月宮よりして、
幹紫に
葉の
碧なる、
玉の
枝より、
金色の
斧で
伐つて
擲つたる、
偉なる
胡桃の
実の、
割目に
青い
露を
湛へたのであらう。まつたく
一寸胡桃に
似て
居る。