“うたがひ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
64.6%
疑惑10.4%
懷疑6.3%
狐疑4.2%
猜疑2.1%
疑心2.1%
嫌疑2.1%
懐疑2.1%
疑問2.1%
疑念2.1%
疑惧2.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
信一郎は、青木淳の弟と語つてゐる軍服姿の男を見たときに、それが手記の中の村上大尉であることに、もう何のうたがひもなかつた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
奈何どうして斯様こんなところへお志保が尋ねて来たらう。と丑松は不思議に考へないでもなかつた。しかし其疑惑うたがひは直にけた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
寂寞せきばくやぶる、跫音あしおとたかいので、夜更よふけ里人さとびと懷疑うたがひけはしないかといふ懸念けねんから、たれとがめはせぬのに、拔足ぬきあし差足さしあしおとてまいとおもふほど、なほ下駄げたひゞきむねつて、みゝつらぬく。
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
何と云ふ訳も無いが、西山の厭な態度と、眼鏡越の狐疑うたがひ深い目付とが、怎しても菊池君と調和しない様な気がするので。
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
『隠せ』——其を守る為には今日迄何程どれほどの苦心を重ねたらう。『忘れるな』——其を繰返す度に何程の猜疑うたがひ恐怖おそれとを抱いたらう。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
猜疑うたがひ恐怖おそれ——あゝ、あゝ、二六時中忘れることの出来なかつた苦痛くるしみは僅かに胸を離れたのである。今は鳥のやうに自由だ。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
其人がわざ/\やつて来るとは——丑松は客を自分の部屋へ通さない前から、疑心うたがひ恐怖おそれとでふるへたのである。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
講師の中に賤民の子がある。是噂が全校へひろがつた時は、一同驚愕おどろき疑心うたがひとで動揺した。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
待伏まちぶせして切害せつがいし死骸のそばかしやつた扇子を落しておき鐵扇てつせんに杉田三五郎と名前が彫刻付ほりつけて有しゆゑ夫に嫌疑うたがひかゝるを三五郎も承知して暫時しばらくうち金兵衞を殺したになつて居たが是は鐵扇てつせんだいだと百兩の金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
うれかなしい過去の追想おもひで、精神の自由を求めて、しかも其が得られないで、不調和な社会の為にくるしみぬいた懐疑うたがひ昔語むかしがたりから
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
左内いよいよ興に乗じて、れいの議論きはめて一三〇妙なり。ひさしき疑念うたがひ今夜こよひせうじつくしぬ。こころみにふたたび問はん。
斯ういふ追懐おもひでの情は、とは言へ、深く丑松の心を傷けた。平素しよつちゆうもう疑惧うたがひの念を抱いて苦痛くるしみの為に刺激こづき廻されて居る自分の今に思ひ比べると、あの少年の昔の楽しかつたことは。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)