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ひばく
ふりがな文庫
“
飛瀑
(
ひばく
)” の例文
高々と持ち上げた手桶から、ドッと一条の
飛瀑
(
ひばく
)
、熟睡した東作の眼へ鼻へ口へ、いや、顔も襟も胸も、上半身一ぱいにブチまけたのです。
銭形平次捕物控:075 巾着切りの娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ドストエフスキーを読んで落雷に出会ったような心地のした私は更に二葉亭に接して千丈の
飛瀑
(
ひばく
)
に打たれたような感があった。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
或は
激湍
(
げきたん
)
沫
(
あわ
)
を吹いて盛夏
猶
(
なほ
)
寒しといふ
白玉
(
はくぎよく
)
の
渓
(
たにがは
)
、或は
白簾
(
はくれん
)
虹
(
にじ
)
を掛けて全山皆動くがごとき
飛瀑
(
ひばく
)
の響、自分は幾度足を留めて、幾度激賞の声を挙げたか知れぬ。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
つつがなく、生命の自然そのままに持っていようとすることの方が——那智の
巌下
(
がんか
)
に千尺の
飛瀑
(
ひばく
)
をこらえているよりは、どんなに、苦しいか、むずかしいか。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
煤煙
(
ばいえん
)
にとざされた大都市の空に銀河は見えない代わりに、地上には金色の光の
飛瀑
(
ひばく
)
が空中に倒懸していた。
試験管
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
▼ もっと見る
あの時は
飛瀑
(
ひばく
)
の音、われを動かすことわが
情
(
こころ
)
のごとく、
巌
(
いわお
)
や山や
幽𨗉
(
ゆうすい
)
なる森林や、その色彩形容みなあの時においてわれを刺激すること食欲のごときものありたり。
小春
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
早川の水が
堰
(
せ
)
かれて淵を成すところ、激して
飛瀑
(
ひばく
)
を成すところ、いずれもよき画題である。
白峰の麓
(新字新仮名)
/
大下藤次郎
(著)
俥を
駆
(
か
)
りて
白羽坂
(
しらはざか
)
を
踰
(
こ
)
えてより、
回顧橋
(
みかへりばし
)
に三十尺の
飛瀑
(
ひばく
)
を
蹻
(
ふ
)
みて、山中の景は始て奇なり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
趣味の何物たるをも心得ぬ
下司下郎
(
げすげろう
)
の、わが
卑
(
いや
)
しき心根に比較して
他
(
た
)
を
賤
(
いや
)
しむに至っては許しがたい。昔し
巌頭
(
がんとう
)
の
吟
(
ぎん
)
を
遺
(
のこ
)
して、五十丈の
飛瀑
(
ひばく
)
を直下して
急湍
(
きゅうたん
)
に
赴
(
おもむ
)
いた青年がある。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
深山のあちこち幽谷の諸所に桜の花が夢のように咲き、様々の小鳥が樹々の
梢
(
こずえ
)
で春を
祝
(
ことほ
)
いで啼いている。ところどころに
飛瀑
(
ひばく
)
が懸かり、幾筋かに分れた谿流が岩を洗って流れている。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その実谷の奥を
探
(
さぐ
)
れば無数の温泉が
渓流
(
けいりゅう
)
の中に噴き
出
(
い
)
で、
明神
(
みょうじん
)
が
滝
(
たき
)
を始めとして
幾
(
いく
)
すじとなく
飛瀑
(
ひばく
)
が
懸
(
かか
)
っているのであるが、その絶景を知っている者は山男か炭焼きばかりであると云う。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
一つは三段に分れて合せて六十尺ぐらいの
飛瀑
(
ひばく
)
をなしており、深夜になると滝の音でピストルの音でも分らぬぐらい、別して、母屋のこのへんは滝のすぐ下だから、音がたちこめている。
不連続殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
飛瀑
(
ひばく
)
を見るごとき白髯、
茶紋付
(
ちゃもんつき
)
に紺無地
甲斐絹
(
かいき
)
の袖なしを重ねて、色
光沢
(
つや
)
のいい長い顔をまっすぐに、両手を膝にきちんとすわっているところ、これで赤いちゃんちゃんこでも羽織れば
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
大風
(
たいふう
)
の
颯々
(
さっさつ
)
たる、
怒濤
(
どとう
)
の
澎湃
(
ほうはい
)
たる、
飛瀑
(
ひばく
)
の
※々
(
かくかく
)
たる、あるいは洪水天に
滔
(
とう
)
して
邑里
(
ゆうり
)
を
蕩流
(
とうりゅう
)
し、あるいは両軍相接して弾丸
雨注
(
うちゅう
)
し、
艨艟
(
もうどう
)
相交りて水雷海を
湧
(
わ
)
かすが如き、皆雄渾ならざるはなし。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
フイモン附近には、四つの
飛瀑
(
ひばく
)
があり、富岡はフイモンは
馴染
(
なじ
)
みの場所である。加野は釣りに行く気はない。そんな悠々とした気持ちにはなれなかつた。久しぶりに山の中から戻つて来たのである。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
それよりして
奥入瀬川
(
おいらせがは
)
の
深林
(
しんりん
)
を
穿
(
うが
)
つて
通
(
とほ
)
る、
激流
(
げきりう
)
、
飛瀑
(
ひばく
)
、
碧潭
(
へきたん
)
の、
到
(
いた
)
る
処
(
ところ
)
に、
松明
(
たいまつ
)
の
如
(
ごと
)
く、
灯
(
ともしび
)
の
如
(
ごと
)
く、
細
(
ほそ
)
くなり
小
(
ちひ
)
さくなり、また
閃
(
ひらめ
)
きなどして、——
子
(
ね
)
の
口
(
くち
)
の
湖畔
(
こはん
)
までともなつたのは、この
焚火
(
たきび
)
と
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
高々と持ち上げた手桶から、ドツと一條の
飛瀑
(
ひばく
)
、熟睡した東作の眼へ鼻へ口へ、いや、顏も襟も胸も、上半身一ぱいにブチまけたのです。
銭形平次捕物控:075 巾着切の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それは量にしては、小柄杓一ぱいのわずかな湯であったが、茶室の
静寂
(
しじま
)
をやぶるただひとつの音であった。聞きようによっては、とうとうと滝つぼへおとす千丈の
飛瀑
(
ひばく
)
とも大きく聞える。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“飛瀑”の意味
《名詞》
飛瀑(ひばく)
高い所から流れ落ちる滝。
(出典:Wiktionary)
飛
常用漢字
小4
部首:⾶
9画
瀑
漢検1級
部首:⽔
18画
“飛瀑”で始まる語句
飛瀑障
飛瀑湧泉