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顛動
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てんどう
ふりがな文庫
“
顛動
(
てんどう
)” の例文
川並
(
かわなみ
)
人夫のあやつるところの長柄の
鳶
(
とび
)
に、その手心は似ているにちがいない。
筏
(
いかだ
)
にくめば
顛動
(
てんどう
)
する危なかしさもないであろう。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
変を知るや、ここにも驚愕と
顛動
(
てんどう
)
と方針の狼狽が起った。とりあえず、信雄は、蒲生家の一女子を人質にとって援軍を派した。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
時としてその心を撃って
顛動
(
てんどう
)
せしむるあの神秘な恐るべき打撃が、当時彼がふけっていた娯楽や逸楽のさなかに突然落ちかかったのであろうか。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
街の上へ出た時、彼は自分で自分が分らなくなるほど
顛動
(
てんどう
)
していた。彼が予期したことはまるで反対の結果になった。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
あたかも心が
顛動
(
てんどう
)
した如くに、
昨日
(
きのう
)
好いと思ッた事も今日は悪く、今日悪いと思う事も昨日は好いとのみ思ッていた。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
▼ もっと見る
私は、黙って
懐中
(
ふところ
)
を探しました。さあ、慌てたのは、
手拭
(
てぬぐい
)
、
蝦蟇口
(
がまぐち
)
、
皆
(
みんな
)
無い。さまでとも思わなかったに、余程
顛動
(
てんどう
)
したらしい。
門
(
かど
)
へ振落して来たでしょう。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そして、祖父の乱暴と革命的宣言とに心
顛動
(
てんどう
)
していた。重い乗合馬車が通るとき店が揺れるのと同じように、彼のうちではすべてが外界の印象から反響を受けていた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
プツリと言いきって、
狐
(
きつね
)
つきのようにだまり込んでいる。背を丸く首を
傾
(
かし
)
げた姿を見るとどんなに世の荒波がこの善人を
顛動
(
てんどう
)
させ、こうも
呆
(
ぼ
)
けさせたかと痛ましかった。
旧聞日本橋:09 木魚の配偶
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
でも暫くすると、母親が気が
顛動
(
てんどう
)
していたのでという意味の
詫言
(
わびごと
)
をして、
締
(
しまり
)
をはずしたので、人々はやっと屋内に入り、恐ろしい殺人事件が起ったことを知ったのである。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「あ、煙が出だした、逃げよう、連れて逃げてくれ」とKは
頻
(
しき
)
りに私を
急
(
せ
)
かし出す。この私よりかなり年上の、しかし平素ははるかに元気なKも、どういうものか少し
顛動
(
てんどう
)
気味であった。
夏の花
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
という父の言葉を
聴
(
き
)
いて居る、僕の心の全く
顛動
(
てんどう
)
したのも無理はないでしょう。
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「どうしよう!」と
顛動
(
てんどう
)
したそこを目掛け、荻野八重梅すすめたのである。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
われは両家其位地を
顛動
(
てんどう
)
すべしとは信ぜざれども、必らず其産出の上に奇異の現象を生じたりしことを疑はず。難波にては豊公の余威全く民衆の
脳漿
(
なうしやう
)
を離れずして、徳川氏の武威深く其精神に貫かず。
徳川氏時代の平民的理想
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
令史
(
れいし
)
少
(
すくな
)
からず
顛動
(
てんどう
)
して、
夜明
(
よあ
)
けて
道士
(
だうし
)
の
許
(
もと
)
に
到
(
いた
)
り
嗟歎
(
さたん
)
して
云
(
い
)
ふ、
寔
(
まこと
)
に
魅
(
み
)
のなす
業
(
わざ
)
なり。
某
(
それがし
)
將
(
はた
)
是
(
これ
)
を
奈何
(
いかん
)
せむ。
道士
(
だうし
)
の
曰
(
いは
)
く、
君
(
きみ
)
乞
(
こ
)
ふ
潛
(
ひそか
)
にうかゞふこと
更
(
さら
)
に
一夕
(
ひとばん
)
なれ。
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「あれに見つかっては」と、曹洪は、気も
顛動
(
てんどう
)
せんばかりにあわてた。矢ばしりの中も今は恐れていられなかった。剣を舞わして、矢を縦横に
薙
(
な
)
ぎ払いながら馳け出した。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一人娘の
非業
(
ひごう
)
の最期に気も
顛動
(
てんどう
)
して、大切なお客さまルージェール大使一行のことも忘れ、前後の処置も考えず、ただ美しい姫のなきがらに取り
縋
(
すが
)
って、涙にくれていたが
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
右顧左眄
(
うこさべん
)
し、
周章狼狽
(
しゅうしょうろうばい
)
した自分たちは、天地も
顛動
(
てんどう
)
する大きな変化に身をさらわれた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
横町の
怪我
(
けが
)
を見ると、我を忘れたごとく
一飛
(
ひととび
)
に走り着いて、転んだ
地
(
つち
)
へ諸共に膝を折敷いて、
扶
(
たす
)
け起そうとする時、さまでは
顛動
(
てんどう
)
せず、力なげに身を起して立つ。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
併し、それが果して、
顛動
(
てんどう
)
していた妙子の耳に通じたかどうか。何を考える暇もなく、本能的に飛び出したあとで、始めて子供のことに気づいたという様なことではあるまいか。
恐ろしき錯誤
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
平和に馴れてきた
処女
(
おとめ
)
の胸には、この世が
顛動
(
てんどう
)
したような衝撃だった。
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
悪魔の所業を
悪
(
にく
)
むよりは、電話口でゾッとする様な、脅迫の文句を喋っている、茂少年の、何ともいえぬ恐ろしい境遇に、気も心も
顛動
(
てんどう
)
して、何を考える余裕もなく、電話器にしがみついて
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
と、
顛動
(
てんどう
)
して
躁
(
さわ
)
ぎかけたのは、もちろん魚松の夫婦である。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
気も
顛動
(
てんどう
)
していたこと、コンクリート作りの洋館のガラス窓が密閉されていたこと、窓から水面までの距離が非常に遠いこと、又仮令水音が聞えたとしても、隅田川は時々徹夜の泥舟などが通るので
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
顛動
(
てんどう
)
していたが、両手で顔を
掩
(
おお
)
って、起き上ると
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
枕から
顛動
(
てんどう
)
して落ちた。
剣の四君子:04 高橋泥舟
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“顛動”の意味
《名詞》
ころがすこと。
慌て、取り乱すこと。動転。
(出典:Wiktionary)
顛
漢検準1級
部首:⾴
19画
動
常用漢字
小3
部首:⼒
11画
“顛動”で始まる語句
顛動返
顛動惑乱