頸輪くびわ)” の例文
そのくるま手長蜘蛛てながぐもすね天蓋てんがい蝗蟲いなごはねむながい姫蜘蛛ひめぐもいと頸輪くびわみづのやうなつき光線ひかりむち蟋蟀こほろぎほねその革紐かはひもまめ薄膜うすかは
みのるは小犬の頸輪くびわを掴むと、自分の手許まで一度引寄せてから、雨の降つてる格子の外へ抛り付ける樣に引つ張りだした。
木乃伊の口紅 (旧字旧仮名) / 田村俊子(著)
紫色の丸顔! 頭に小さな漉羅紗帽すきらしゃぼうをかぶり、項にキラキラした銀の頸輪くびわを掛け、——これを見ても彼の父親がいかに彼を愛しているかが解る。
故郷 (新字新仮名) / 魯迅(著)
トて、言葉の限り称賛ほめたたへつ、さて黄金丸には金の頸輪くびわ、鷲郎には銀の頸輪とらして、共に家の守衛まもりとなせしが。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
その人の庭にある池の中に犬の死骸しがいが浮いているから引き上げて頸輪くびわを改ためて見ると、私の家の名前がりつけてあったので、知らせに来たというのである。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
多くの記念塔の頸輪くびわをつけ、悧発りはつげな無頓着むとんじゃくさで伸びをして、またそぞろ歩きの美人のように、自分の美しさに微笑ほほえんでいる、身こなしたおやかな優美な河であった。
沖縄の旧語はツシヤであったが、是がもしも頸輪くびわたま、したがってまた主として宝貝を意味していたとすれば、ズズダマの名の起こりのツシタマとは他人では有り得ない。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
頸輪くびわで頸動脈を強く緊縛したために脳貧血を起し、そのまま軽度の朦朧状態に陥ったのと、よろいを横向きに着させたために、胸板の才鎚環さいづちかんで強く鎖骨上部が圧迫され、その圧力が
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
大きなデカおやじが、自分の頭程あたまほどもない先月生れの小犬ののみんでやったり、小犬が母の頸輪くびわくわえて引張ったり、犬と猫と仲悪なかわるたとえにもするにデカと猫のトラとはなつき合わしてたがいうたがいもせず
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
わたしたちは家に帰ってから、ロボに頸輪くびわをかけ、じょうぶな鉄鎖てつぐさりでつなぎ、手足を自由にし、輪繩わなわはずして家の前のくいへ結びつけた。そこで始めて安心して私はロボのからだを細かにしらべた。
裾にからめばつくばいてうなじで、かの紙片かみきれを畳みて真鍮しんちゅう頸輪くびわに結び附け
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
袋の一個には香料が入って居たのだ、今の馥郁と立ち上った香気の元も分った、王冠の外に女王の冠も有る、之も価の積り切れぬ多くの珠玉の飾りである、次から次へ、頸輪くびわも出た、腕飾も出た
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
頸輪くびわはどうすればいいのです? どこから持ってくればよろしいんです? こりゃ驚いた! さっぱりわからん! ねえ奥さん! 失礼ながら、わたしはあなたの才能を崇拝して、あなたのためなら
肥満ふとりたる、頸輪くびわをはづす主婦めあるじ腋臭わきがの如く蒸し暑く
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
惜しき頸輪くびわを解きて
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
紅い色の丸いほおをして、頭には小さなフェルトの帽子をかぶって、頸にはキラキラと光る銀の頸輪くびわをしている。
故郷 (新字新仮名) / 魯迅(著)
猟犬は霎時しばしありて、「某今御身とちぎりを結びて、彼の金眸を討たんとすれど、飼主ありては心に任せず。今よりわれも頸輪くびわすてて、御身と共に失主狗はなれいぬとならん」ト、いふを黄金丸は押止おしとど
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)